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成年年齢引き下げ。18歳でできるようになること・できないこと

ファイナンシャルフィールド / 2021年7月30日 22時40分

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令和4年4月1日から、成年年齢が18歳になります。   憲法改正国民投票の投票権年齢が18歳と定められ、平成27月6月、公職選挙法の一部を改正する法律が成立し、選挙権年齢が18歳に引き下げられる等、18歳・19歳も国政の重要な事項の判断に参加するように政策が進められてきました。   そして、民法においても18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないか、という議論がされるようになり、明治9年の太政官布告から約140年ぶりに成年年齢の改正となりました。 (※以上、法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)概要」より)   ところで、18歳成年になると、何がどう変わるのでしょうか。

18歳成年、何ができる?【1人で有効な契約】

18歳成年になると、何ができるようになるのでしょうか。民法が定める成年年齢には、次の2つの意味があります。


(1)1人で有効な契約をすることができる年齢
(2)父母の親権に服さなくなる年齢

(法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)概要」より引用)

未成年者が契約を結ぶには親の同意が必要ですが、成年になれば、親の同意がなくても1人で「有効」な契約をすることができます。
 
例えば、アパートの賃貸契約、携帯電話の契約(本体、通信)、ローンを組むことや、クレジットカードを作ることができるようになります(ローンやクレジットカードは支払い能力によります)。
 
また、親権に服さなくなることから、住む場所や進路(就職・進学)を自分の意思で決定をすることができます。親の同意なく結婚することも可能になります。
 
18歳に成年年齢が引き下げられる一方、女性の婚姻開始年齢が16歳から18歳に引き上げられます(2022年4月1日に既に16歳になっている場合は、18歳未満でも結婚できます)。
 
未成年で婚姻届を出すには親の同意が必要でしたが、2022年4月1日以降、18歳は成人してからの結婚となり、親の同意が要らなくなります。ただし、これらについては、親の理解を得ることが大切であることはいうまでもありません。
 
他に、10年パスポートの取得や、未成年には免許が与えられなかった国家資格、家庭裁判所において性別変更の取り扱いの変更審判を受けることなども、18歳でできるようになります。
 
その他の成年年齢の引き下げに伴う年齢要件の変更で18歳に変わるものを、法務省ホームページでは次の表のとおり公表しています。
 


(出典:法務省「成年年齢の引下げに伴う年齢要件の変更について」より、一部加工)
 
未成年者が契約する時は親の同意が必要ですが、同意なしに契約した場合は後で取り消すことができました。しかし、成人となってから契約したものは取り消すことはできません。
 
ただし、2022年4月1日より前、例えば2022年3月31日に18歳や19歳の未成年者として契約した場合、親の同意なしでの契約は、2022年4月1日以降でも取り消すことができます。
 

18歳成年でもできない【飲酒・喫煙・公営競技】

一方、成年となっても、飲酒や喫煙、競輪、競馬、ボートレースなど公営ギャンブルは、健康被害やギャンブル依存症の対策から、「20歳」になるまでできません。また、養子をとることや、国民年金の被保険者になることも「20歳」からです。
 
その他の、成年年齢の引き下げに伴う年齢要件の変更でも18歳ではできない(20歳までできない)ことを、法務省ホームページでは次の表のとおり公表しています。
 


(出典:法務省「成年年齢の引下げに伴う年齢要件の変更について」より、一部加工)
 
このうち、大型・中型免許については、道路交通法改正(令和2年6月10日公布)により、特別な教習を終了した者については、第二種免許、大型免許、中型免許の受験資格が「19歳以上、普通免許等1年以上」に緩和されます。
(警察庁「令和2年6月10日公布 道路交通法の一部を改正する法律(令和2年法律第42号)概要」より引用)
 
また、小児慢性特定疾病医療費の支給に関わる患児の年齢、児童自立生活援助事業の対象となる年齢、特別児童手当の支給対象年齢等の、病気や障害を負った子や社会的支援が必要場合は、18歳で打ち切られることなく20歳まで対象とされます。
 

養育費の支払いは18歳まで?

ところで、子の養育費は、成年年齢引き下げにより18歳までになるのでしょうか。また、「子が成人するまで」と取り決めた場合は、18歳で打ち切りになってしまうのでしょうか。
 
法務省の「民法(成年年齢関係)改正Q&A」では、子が経済的に自立できない場合に、両親の個別の事情により判断されるもので、未成年である場合に限定されるものではないとあります。
 
また「子が成人するまで」と取り決めた場合、取り決められたときの成年年齢は20歳であることから、従来どおり20歳までの義務を負うことになると考えられています。
 
後々トラブルが起こらないよう、養育費を取り決める際、支払期間を明確に指定しておくとよいでしょう。
 
2022年4月1日に、高等学校を卒業したらすぐに成人となりますが、それ以降は18歳の誕生日を迎えると成人です。高等学校という守られた環境の中で、成人としての意識が薄いまま「成人」になります。
 
自由に契約できるようになるということは、その契約に自分が責任を負うことです。自分の意思決定で決められるということは、決定したことに自分が責任を持つことです。
 
これらのことを肝に銘じて18歳を迎えましょう。
 
出典
法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」
法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)(概要)」
法務省「成年年齢の引下げに伴う年齢要件の変更について」
法務省パンフレット「民法改正 成年年齢の引下げ 〜若者がいきいきと活躍する社会へ〜2022年 4月1日から、成年年齢は18歳になります。」
法務省「民法(成年年齢関係)改正Q&A」
警察庁「令和2年6月10日公布 道路交通法の一部を改正する法律(令和2年法律第42号 概要)」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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