生命保険の便利機能『リビング・ニーズ特約』が役に立つケース
ファイナンシャルフィールド / 2018年8月20日 10時30分
知っていれば使える生命保険の便利な機能を以前ご紹介しましたが、もうひとつぜひ皆さんにご紹介したい機能として、リビング・ニーズ特約があります。 個人的にはとても大切な機能だと思っているので、ぜひ頭の片隅に入れておいていただければと思います。
経済的な理由で支払いが厳しくなった時
リビング・ニーズ特約とは、死亡保障の生命保険に無料で付帯されている特約です。
原因にかかわらず余命6か月以内と判断された場合に、死亡保険金の一部または全部を生前に受け取ることができます。ごく一部の保険会社を除き、必ず付帯されています。
「原因にかかわらず」ですから、要件は医師から余命半年の宣告を受け、保険会社所定の書類に医師から必要事項を記入のうえ、サインをもらうだけでよいのです。
しかも用途は自由で、上限3000万円。一縷の望みをかけて延命治療のための費用として使ったり、家族とも思い出作りのための資金としたり、お墓を先に買ったり、さまざまな用途で使われます。
リビング・ニーズ特約が役立つケース
余命半年の宣告を受けたあと、実際に私も親族のケースで体験したことです。
高齢の女性で、すい臓がんのため余命3カ月を宣告されました。以降1日だけ帰宅した以外はずっと入院していましたが、治療はせず緩和ケアのみでした。女手一つで子供を3人育て上げた、ある生命保険会社の元トップセールスレディであり、幸い預貯金がそれなりにあり、年金収入もしっかりあったので、当初医療費の心配はほとんどしていませんでした。
しかし診断された余命の「期限」を過ぎたころから、こんな趣旨の不安を口にしだしたのです。
「余命3カ月だと聞いていたから費用の心配をしていなかったけど、もう4カ月近く経つ。このままあと何か月も延びたら貯金がつきそうで心配だ。」と。
そして「貯金がつきたら借金して費用を捻出しないといけないのか。借金はしたくないけど孫の結婚式は見たいから長生きしたい」とこぼしていました。
本人はすごく複雑な気持ちだったと思います。その話を聞いて私はリビング・ニーズ特約を活用してはと伝えました。彼女自身生命保険会社で勤めていたのですが、本人の現役時代には普及していない特約だったため、本人も存在をすぐに思いつかなかったのです。リビング・ニーズ特約があることで安心したのか以後お金の不安は口にすることがなくなりました。
いざというときに使える体制をつくる
とても便利な特約なのですが、他の機能と同じで、「知らないと使えない」というポイントがあります。保険会社は余命半年の宣告を受けたかどうか当事者からの連絡がない限り把握できないからです。信頼できる保険の担当者がいれば状況を聞いたうえで対応してくれるでしょうが、誰かしらから連絡がないと状況を把握することはできません。
自分の入っている保険の内容を本人以外にまで詳しく知っておいてもらう必要まではないとは思いますが、「何かあったら連絡するのはこの担当者」ということと連絡先くらいは共有しておいた方がよいでしょう。
担当者がいると助かる理由
ネットや通販で入れる保険にもリビング・ニーズ特約はついていますが、当然請求手続きは本人もしくは指定代理請求人(親、子、兄弟がほとんど)がとらなくてはなりません。
担当医に余命6か月以内と判断した理由、所見、今後の方針など保険会社所定の書類に記入してもらわなければならないのです。自分や大切な家族が余命半年の宣告を受けたとして、受け入れることができるでしょうか?まだ受け入れきれない状態で、医師から上記のような書類をもらう、つまり改めて余命半年だという事実を認識しなくてはならないような手続きが本当にできるでしょうか?
そんな時、担当者がいれば手続き自体は委任することもできます。いざというとき任せられる担当者かどうかの判断も含めて、目前の掛け金だけでない要素も、加入時にみておく必要があるのです。
出典
公益財団法人生命保険文化センター
Text:萬實赳志(ばんみ たけし)
AFP認定者
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