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住んでから「事故物件」と知りました。大家さんは事前に説明する義務があるのではないですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年2月2日 6時50分

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最近では好んで住みたがる人もいるといわれる事故物件ですが、まだまだ一般的には避けたいと思う人が大多数です。だからこそ、事故物件であることを隠している大家さんもいます。そこで、大家さんの説明責任について考えてみます。

事故物件は、法律の世界では「心理的瑕疵(かし)」といわれている

一般的な賃貸マンションやアパートにおける「事故物件」とは、自殺や他殺で人が死んだ部屋を指します。例えば、あるマンションの101号室で人が自殺した場合、101号室がいわゆる「事故物件」となります。
 
そしてこのような事故物件は、法律の世界では「心理的瑕疵物件」に当たります。事故物件は、人が死んでいるとはいえ、清掃などが済んでいれば、物理的に人の住めない環境ではありません。しかし、人の死んだ場所で寝食をするに当たり、多くの人が抵抗を感じます。そこで、物理的な瑕疵(欠陥)と区別した「心理的な瑕疵(欠陥)のある物件」として、事故物件は心理的瑕疵物件と呼ばれています。
 
ただし、人の死のあった部屋の全てが事故物件に該当するわけではありません。老衰や持病による死亡といった、いわゆる自然死については、一般的には事故物件扱いされず、告知義務はないと考えられます。なぜなら「そういった死は当然にいつか起こることが予見されるもので、大きな心理的抵抗を生じるものではない」と法律上では判断されるからです。
 

物件が事故物件であれば、大家さんは借り主にそれを告げる必要がある

原則として、不動産の貸主は借り主に対して、事故物件であることを「心理的瑕疵物件」として告知しなければなりません。つまり大家さんには、事故物件であることを事前に説明する義務があるのです。
 
具体的には入居のもっと前、賃貸契約の時点で、契約に関する重要な事項の説明がなされるのですが、そこで心理的瑕疵として説明がなされていなければなりません。
 
もし、事故物件であることが告げられなかった場合、後からそれを知ったとき、入居者は大家さんに対して契約の解除や損害賠償の請求をすることができると考えられます。場合によっては、それらと合わせて慰謝料の請求も可能になるでしょう。
 
ただし、国土交通省のガイドラインによれば、告知義務はその死が発覚してからおおむね3年とされています。4年や5年も前に事故物件となった場合にまで、契約の解除や損害賠償を請求することは難しいでしょう。
 

損害賠償はどれくらい請求できる?

告知義務違反を理由とする損害賠償には、幅広い費用が含まれると解されます。
 
過去の判例によれば、「入居直後、1年5ヶ月前に自殺があったことを知った」という事例の損害賠償における金額や範囲について、家賃や礼金・保証料・引っ越し料・エアコンの工事代金まで含め、計64万円もの額が認められたこともあります。その事案ではさらに慰謝料30万円、弁護士費用10万円も認められ、最終的には退去費用などとして計104万円の請求が認められています。
 
とはいえ、実際には物件の家賃や居住期間、事故の内容など諸般の事情を考慮して、損害賠償の範囲や額が決まります。必ずしも全てのケースで、100万円を超えるような損害賠償が認められるわけではないことに注意してください。
 

まとめ

事故物件は、大家さんに事前の説明義務があります。もし賃貸契約における重要事項の説明時に、事故物件であることを隠されていた場合は、契約の解除と共に損害賠償の請求が可能になります。
 
ただし、損害賠償は必ずしも100万円を超えるような額で認められるとは限りません。もし、事故物件について悩んだときは、弁護士など専門家へ相談することをおすすめします。
 

出典

国土交通省 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
一般財団法人不動産適正取引推進機構 心理的瑕疵の有無・告知義務に関する裁判例について
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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