40代後半の「おひとりさま」です。今から老後資金を作れますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月18日 4時40分
Aさんは40代後半の会社員です。結婚はしておらず、いわゆる“おひとさま”のため、これまで貯金をしてこなかったのですが、だんだんと老後が心配になり、老後資金を作ることを決意したそうです。おひとりさまの老後は、家計面・生活面でどのようなことに注意すべきか、今からできる資産形成の方法はなにか、ご本記事で紹介します。
3つのステップで老後資金
総務省統計局が公表している「2020(令和2)年 国勢調査 調査の結果 人口等基本集計」の調査結果によると、40代後半の男性の未婚は29.9%、女性の未婚は19.2%です(表III-2 配偶関係,年齢(5歳階級),男女別15歳以上人口(2020年))。
また、厚生労働白書では、前段の調査結果から、どの年齢階級でも未婚割合は長期的に上昇しているとされ、結婚意思を持たない若者の割合は男女とも増加傾向にあるといわれています。未婚者が考える独身生活の最大の利点は、「行動や生き方が自由」な点であると、男女問わず最多となっています。
このように、おひとりさまが増加しているなか、Aさんを例に3つのステップの老後資金をご紹介します。
ステップ1:厚生年金保険に長く加入し、スキルアップする
老後の生活収入源は公的年金という人が多数を占めていることから、会社員のAさんは、スキルアップしながら、給与を増やすことで、老齢厚生年金を増やすことができます。厚生年金保険の等級に上限がありますが、年金額の計算は、給与や賞与の額と加入期間であるため、給与がアップすれば確実な老後資金となります。
厚生年金保険の加入月数、昇給の有無で、高齢期に受け取る老齢厚生年金は下記のように変化します(老齢基礎年金は含まず)。
着実にスキルアップし、加入月数を480月、平均給与(平均標準報酬額)を50万円にする
50万円×5.481/1000×480月=131万5440円
スキルアップし、加入月数は300月、平均給与が40万円になったところで、独立する(独立後は国民年金に加入)
40万円×5.481/1000×300月=65万7720円
転職を繰り返し、加入月数は300月、平均給与は30万円、給与はあまり変化していない(転職する間は国民年金に加入)
30万円×5.481/1000×300月=49万3290円
ステップ2:iDeCoで老後資金を作る
スキルアップで公的年金を増やすと同時に、毎月一定の金額を積み立てて老後資金を作るには、個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。
iDeCoは、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能(一定の条件あり)であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
原則、60歳になるまで、受け取ることができないため、確実な老後資金を作ることができます。さらに、iDeCoには現役のときからメリットとなる、以下の3つの税制優遇措置があります。
メリット1:掛金は全額所得控除
メリット2:運用益も非課税で再投資
メリット3:受け取るときは「公的年金等控除」または「退職所得控除」
ステップ3:いろいろな使い道ができる新NISA
NISAとは、投資による税制上の優遇制度です。NISAには成長投資枠とつみたて投資枠とあります。本来、売却時に利益が出ている場合、20.315%の税金がかかりますが、NISAなら利益に対して非課税(0円)です。
Aさんは、今まで貯金をしてこなかったので、毎月コツコツと積み立てする、つみたて投資枠をお勧めします。前段のiDeCoとは異なり、いつでも売却できますが、長期・分散・積立することで、着実に老後資金を作ることができるのです。
毎月1万円を積み立てするとどのくらい増える?
ご紹介したiDeCoもNISAも、長期間することで着実に老後資金を作るものです。今からAさんが投資を始めると、60歳まで10年以上あります。では、どのくらい増えるのでしょうか?
ケース1 : 毎月1万円で3%の収益とすると…10年で139万7414円
ケース2 : 毎月2万円で3%の収益とすると…10年で279万4828円
※金融庁の資産運用シミュレーションにて試算
NISAには年齢の上限がないので、70歳まで20年積み立てした場合、上記のケース1では、328万3020円、ケース2では、656万6040円となります。Aさんは、今まで貯蓄する習慣がありませんでしたが、これから毎月コツコツと積み立てすると老後資金は着実に増やすことができます。
まとめ
まずは、少額からでも、長期に続ける習慣を身につけるところから始めてみてはいかがでしょうか。さらに、おひとりさまの生活は自由な分、知らず知らずのうちに無駄遣いしていることに気が付かないこともあります。これを機に生活面(支出)の見直しをしてみるのも、老後資金を作る第一歩になります。
出典
総務省統計局 令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要
厚生労働省 令和5年版 厚生労働白書(令和4年度厚生労働行政年次報告)
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
金融庁 資産運用シミュレーション
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
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