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60歳の親が今から「住宅ローン」を組もうとしています。止めるべきですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月24日 5時40分

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近年、テレビCMやネットの広告などいたるところで「60歳からでも住宅ローンが組める」と耳にすることがあります。本当に60歳からでも住宅ローンを組むことはできるのか、仮に組めるとしてその後問題なくローンを返済していくことができるのか、を考えていきます。

最近話題のリ・バース60

近年「60歳からでも住宅ローンが組める」といわれているのには、リ・バース60の存在があります。リ・バース60とは、その名のとおり60歳以上の方を対象とした住宅ローンです。住宅金融支援機構と各金融機関が提携して提供しており、怪しい金融商品ではなくきちんとした住宅ローンの一種です。
 
特徴としては、最大8000万円もの額で住宅ローンを組めることや、毎月の支払いは利息のみと返済の負担が小さいことなどが挙げられます。
 
主な使い方としては、今住んでいる家が賃貸である場合や、持ち家が古くなっているため老後に向けバリアフリーに特化した家が欲しい、といった場合が想定されます。
 

リ・バース60の問題点

リ・バース60が、60歳から返済の負担なく住宅ローンが組めるという点は事実です。しかし、そこには「子や孫といった相続人に大きな負担がいく可能性がある」という重大な注意点が存在しています。
 
契約者の生存中は利息のみの支払いということは、裏を返せば元本が長期間丸々残り続けるということになります。仮にリ・バース60を利用して4000万円の住宅ローンを組んだとしたら、契約者の死後、相続人にそのローンが丸々残るわけです。
 
相続人がそれを返済できればいいのですが、できない場合、負の財産をのこしてしまうことになります。パンフレットやCMなどでは、持ち家の売却代金で残高を返済するといわれていますが、実際にそれだけで完済できるとも限りません。
 
地価が上がっているような場合はともかく、土地部分を除く家の価格は10年、20年と時間の経過とともに下落していくため、売却代金がローン残高を下回り、結局相続人たちに負担のしわ寄せがいく可能性もあります。
 
なお、ノンリコース型を選択すればこのリスクは避けることができます。住宅金融支援機構によると、担保物件の売却料金だけで残高を返済できなかった場合、ノンリコース型では、相続人は残った債務を返済する必要がありません。
 
ただし、金利が高くなり返済額が増える可能性があること、返済が不要となった残債務分が債務免除益とみなされ、所得税などが課税される可能性があることには注意が必要です。
 
また、見落としがちではありますが、元金が全く減らないということは、長く生きれば生きるほど利息を含めた支払総額が多くなっていくということにもなります。
 
例えば、1500万円を借り入れて毎月4万円の利息を払い続けるという契約で、20年後に亡くなったとしましょう。この場合、利息だけで960万円もの額を支払うことになります。最終的な不動産の評価額にもよりますが、相続人からすればそれだけ相続財産が減ってしまうことにもなります。
 

リ・バース60は止めるべきなのか

リ・バース60を利用すること自体は悪いことではありません。ただし、親子で問題点を検討し、双方納得を得られた場合にのみ利用するべきでしょう。リ・バース60では元金は子が返済することが原則です。要は、親の負債の返済を子の世代に先延ばしにするようなものです。
 
地価の上昇から住宅や土地の売却代金がローン価格を上回ると想定される場合や、ノンリコース型を選択した場合でも、もろもろのリスクや課題は残ります。絶対に止めるべきとは言い切れませんが、利用の前には親子で十分内容を確認しておくべきでしょう。
 

まとめ

たとえ60歳からでも、リ・バース60なら住宅ローンを組み、老後に必要な家を小さな負担で確保することができます。相続時に想定される家の価格や、住宅の購入を必要とする事情など、条件次第によっては十分に利用価値があるでしょう。しかし、その元本の返済は、実質的に子が担うものとなっています。
 
もし、親がリ・バース60の仕組みをよく理解していない、あるいは将来相続人が返済することまでを想定できていないなどデメリットを理解していない場合は、いったん止め、親子で十分話し合って検討するべきでしょう。
 

出典

住宅金融支援機構 リ・バース60
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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