何も考えないで退職すると痛い目にあう? 退職1年後の多額の住民税
ファイナンシャルフィールド / 2018年11月29日 23時30分
定年で退職一時金を受けとった後、仕事をせずにのんびり暮らしている人、再就職をして収入がずいぶん落ちた人、そんな人に1年後ドーンとくるのが住民税です。 ※定年は60歳以降で考えています。
退職した翌年に注意
退職して収入は大幅に減少したのに、退職の翌年に多額の住民税の請求が来たと嘆く方が多くいます。
退職前は、給料から所得税と住民税が引かれていたので、税額をそれほど気にすることはありませんでした。
しかし、退職後に役所から住民税の通知書が来て、そこに記載されている税額を見て驚く人はたくさんいます。
なぜそうなるのか、住民税の仕組みをまず知っておきましょう。
住民税の仕組み
住民税は、「均等割り(均等な額で課税される)」と「所得割(所得に応じて課税される)」からできています。
「所得割」は、前年の所得にかかります。
給与所得者の前年の所得に対する住民税については、6月から翌年の5月までの12回に分割して、給与から引かれます。これを「特別徴収」と言います。
1月から5月までの間に退職した場合、未納分の住民税は、給与か退職金からまとめて徴収(一括徴収)されます。
6月から12月までの間に退職した場合には、一括徴収または、役所から送られてくる納付書で本人が直接納付(普通徴収)、のいずれかを選ぶことになります。
普通徴収を選んだ場合は、住民税の納付通知書が送られてきます。
本年分の退職までの給与に対する住民税は、翌年収めることになりますので、退職した翌年は収入が大幅に減っているのにも関わらず、住民税が多額にかかってくるというわけです。
住民税の税率は前年の所得の10%ですから、前年の所得が多い方や、退職が12月末の方などはかなり大きな金額になります。
それに備えて納税準備をしっかりしておくことが大事です。
なお、退職金にかかる住民税は、退職金が支払われる際に引かれていますので、翌年に住民税の納付通知書が送られてくるということはありません。
滞納には注意!
特別徴収の方は給与から自動的に住民税が徴収されるため、滞納することも延滞金がつくこともありません。
しかし、普通徴収に変えた方や、個人事業主、無職の人の場合、自分で納付する必要があるため、ついうっかり払い忘れるケースがあります。
実際に住民税を滞納するとどうなるのでしょうか?
まず、納付期限が過ぎてから20日以内に、郵送で督促状が届きます。
納付期限が過ぎると延滞金もかかります。
延滞金の率は期間によって細かく決められていますので、自分の住んでいる自治体のHPで確認してみましょう。
例えば、平成30年1月1日から平成30年12月31日までの延滞金は税額の8.9%(※最初の1ヶ月は2.6%)です。
再三の督促・催促を無視したり、分割払いの約束をしたのにそれも守らなかったりすると、財産調査が始まります。
滞納者の勤め先、口座を持つ金融機関などに調査票が送られます。
調査の結果、差し押さえ可能な財産があれば強制執行されます。
例えば、給与の差し押さえだと、勤め先で差し押さえ分を給与から控除し、勤め先が自治体に振り込むという形になります。
普通徴収に変える方は、今まで住民税を自分で支払ったことがない場合が多いので、十分注意しましょう。
住民税を逃れる裏技
では、住民税を合法的に払わなくてすむ方法はないのでしょうか。1つあります。
住民税は1月1日に住民票がある自治体からかかります。
ですから、1月1日の時点で日本以外の場所に住所があれば、課税対象になりません。
ただし、183日以上海外に住むことで日本の「非居住者」となるので、1月1日をまたいで183日以上は海外に住む必要があります。
定年後、海外でロングステイを考えている方は、退職翌年の1月1日が来る前に住民票を海外に移すことを検討してみてはいかがでしょうか。
留意すること
住民票がないと国民健康保険には入れません。
民間の海外旅行保険でカバーするなどの対応が必要です。
Text:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
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