家のすべてを任せていた妻が先日他界しました。妻も年金を受給していたのですがどのような手続きをしたらよいでしょうか? 子どもには迷惑をかけず自分でなんとかしたいです。
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月10日 22時20分
Aさんは定年退職して3年、現役時代もリタイア後も、家のことはすべて専業主婦の妻に任せてきました。年金受給時の手続きも妻がやってくれました。 しかし、先日妻が他界。妻が亡きいま、何から手をつけていいのか分からないとのこと。いろいろあって、子どもには頼りたくないそうです。配偶者が亡くなった場合、年金の手続きは何から始めればいいのか、基本を解説します。
専業主婦の妻が亡くなってもらえる年金と条件
専業主婦が亡くなった場合、どんな条件がそろえばどんな年金が誰にもらえるのかをまとめておきます。
遺族基礎年金の受給要件としては、以下のとおりです。
1.国民年金の被保険者である間に死亡したとき
2.国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
3.老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
4.老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
上の要件のいずれかに該当しており、妻に生計を維持されていた(1)子どものいる夫、(2)子どもが「遺族基礎年金」を受け取ることができます。ここで定義されている「子ども」は、以下のとおりです。
1. 18歳の年度の3月31日を経過していない子どもがいる場合
2. 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子どもがいる場合
Aさんの場合は、「子どもに頼ることなく手続きしたい」とご相談していることからも、1、2には該当しないという前提で話を進めましょう。
「遺族基礎年金」に該当しない場合でも「未支給年金」を受け取ることができる
先に述べた条件に当てはまらない場合でも、「未支給年金」の受給権が発生します。
年金を受け取っていた妻が8月20日に亡くなったとします。8月まで生きていたので、8月までの年金を受け取る権利があります。年金支給日は2ヶ月に一度の15日で、前の2ヶ月分が振り込まれます。
8月15日に受け取る年金は、6月分と7月分の年金であり、8月分は10月15日に支給されます。受給者である妻が死亡しているので、もらえるはずの年金が受け取れない「未支給年金」となります。
未支給年金を請求できるのは、
(1) 配偶者 (2) 子 (3) 父母 (4) 孫 (5) 祖父母 (6) 兄弟姉妹の順です。
死亡届を提出したり、死亡診断書を提出したりすれば役所で案内してくれますので、指示に従って必要書類をそろえて年金事務所へ行きましょう。
妻が受け取っていた年金で未支給分の受け取り方
専業主婦の妻で、残された夫に扶養する子どもがいない場合に受け取る未支給年金は基本1回なので金額からみると多くはありません。だからといって手続きを怠ると、後々面倒になりますので留意してください。
・死亡の届出
「受給権者死亡届(報告書)」
日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されていれば、省略できます。
1. 亡くなった方の年金証書
2. 死亡の事実を明らかにできる書類:住民票除票、戸籍抄本、死亡診断書など
・未支給年金請求の届出
未支給年金・未支払給付金請求書(複写帳票)
1. 亡くなった方の年金証書
2. 妻と夫の続柄が確認できる書類:戸籍謄本など
3. 妻と生計を一にしていた事実が分かる住民票など
4. 夫の金融機関口座が分かるもの
5. 生計同一関係に関する申立書(亡くなった方と請求する方が別世帯の場合)
これらを用意して、年金事務所または年金相談センターで手続きをします。
一見煩雑だが、死亡診断書を役所に提出すると、順次案内される
このようにみてくると、さまざまな書類が必要になり、いかにも煩雑な手続きで面倒に感じるかもしれませんが、親族、特に配偶者の死亡に伴う手続きが慣れている人はいません。役所などでもフローチャートを使って、丁寧に説明してくれます。
医療機関で書いてもらった死亡診断書を役所に提出すれば、次はどの順番でどこに行って、どんな書類をもらって、それをどこに提出すればよいか、説明してもらえます。
また、これらは公的書類なので発行手数料がかかります。再度提出を求められる場合に備えて返却希望を申し出ておく、あらかじめコピーをとっておく、原本を複数申請しておくべきなのかも併せて確認しておくと二度手間を省くことができます。
説明を聞いたら、先延ばしにせず最優先で行動しましょう。日常的に発生する手続きではないので、時間がたてば説明されたことも忘れてしまい、かえって時間がかかってしまうものです。例えば未支給年金の手続きの前提となる、受給権者死亡報告書の提出が遅れれば年金の支給が継続され、後になって返還を求められることになりますので留意しましょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者
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