振り込め詐欺にあったときに知っておきたい被害回復方法3選
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月28日 10時45分
振り込め詐欺の被害に遭って、泣き寝入りしていませんか。あきらめてはダメです。被害を回復する方法があります。 クーリングオフは、広く知られていますが、「振り込め詐欺救済法」や「被害回復給付金支給制度」、「消費者団体訴訟制度」についてはご存じない方も多いのではないでしょうか。それぞれのポイントを解説します。
特殊詐欺の被害状況
警察庁によると、ここ数年、振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害額は、平成26年をピークに減少傾向ですが、それでも、平成29年中の被害総額は振り込め詐欺約378.1億円と振り込め詐欺以外の特殊詐欺約16.7億円を合わせて約394.7億円にのぼります。
これらの数字は警察に「被害届」が出されたものだけですので、実際の被害額はこの数字よりもはるかに大きな金額になるでしょう。
なぜなら、「自分が振り込め詐欺の被害にあったことを家族に知られたくない」、「恥ずかしい」、「警察に被害届を出しても無駄だ」などと考え、泣き寝入りする人が少なくないと推測できるからです。
被害にあった場合は、あきらめずに警察(専用電話#9110)や金融機関に相談することが大切です。被害にあった方が高齢の場合は子どもがサポートしてあげましょう。「振り込め詐欺救済法」や「被害回復給付金支給制度」などで、だまし取られたお金を取り戻すことが可能だからです。
振り込め詐欺救済法
振り込め詐欺救済法は、振り込め詐欺等の犯罪により、金融機関の口座に振り込まれ滞留している犯罪被害金を、被害に遭われた方に支払う手続き等について定めた法律です。
被害にあった場合、警察へ「被害届」を出し、振り込んだ口座(犯罪利用口座)がある金融機関に連絡をします。連絡は、自分の口座のある金融機関ではなく振込先の金融機関ですので注意してください。
振り込め詐欺等の振込先になった預金口座は、預金保険機構のホームページで公告されます。インターネットを利用できる方は、預金残高を含めた口座情報をご確認ください。
自分の口座を確認出来たら振込先の金融機関に支払いを申請します。振込先の金融機関から被害金が支払われます。支払い手続きは90日以上かかります。なお、支払額は、口座残高や被害に遭われた方の数等に応じて変わります。
例えば、被害者が2人いて被害額がそれぞれ200万円(合計400万円)で、200万円が引き出されていて、口座残高が200万円の場合を考えてみましょう。
1人だけが警察に「被害届」を出し金融機関に支払いの申請をしたときは、その方に200万円が支払われます。しかし、2人とも支払いの申請をしたときには、それぞれ100万円ずつ支払われます。
被害回復給付金支給制度
組織犯罪処罰法により、詐欺罪や高金利受領罪(出資法違反)といった財産犯等の犯罪行為により犯人が得た財産(犯罪被害財産)は、その犯罪が組織的に行われた場合やいわゆるマネー・ロンダリングが行われた場合には,刑事裁判により犯人からはく奪(没収・追徴)することができるようになっています。
このようにして犯人からはく奪した「犯罪被害財産」を金銭化して「給付資金」として保管し、そこからその事件により被害を受けた方に給付金を支給する制度が「被害回復給付金支給制度」です。
現在、支給手続を行っている事件の一覧は検察庁のホームページに掲載されています。
手続きが開始された事件について、申請期間内に申請書に必要な事項を記載し,被害を受けたことやその被害額を示す資料のコピー,運転免許証等のコピーなど申請に必要な資料を添えて,支給手続を行っている検察官に提出します(郵便でも申請することができます)。
消費者団体訴訟制度
消費者団体訴訟制度とは、内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者(被害者)に代わって、事業者に対して訴訟などをすることができる制度です。この制度には、「差止請求」と「被害回復」の2つがあります。
「差止請求」は、嘘を言う等の不当な勧誘やキャンセルできない等の記載のある不当な契約条項、実際より優れた内容であるかのような不当な表示等の事業者の不当な行為に対して、適格消費者団体がやめるように求めることができる制度です。
「被害回復」は、事業者の不当な行為によって財産的被害が生じている場合に、特定適格消費者団体が、消費者に代わって被害回復裁判手続きを行い、事業者から被害金額を取り戻す制度です。
つまり、被害者に代わって、消費者団体が、事業者の不当な行為の差し止めや被害金額を取り戻してくれます。ただし、慰謝料や治療費等は対象外です。
なお、適格消費者団体や特定消費者団体は消費者庁のホームページに掲載されています。個別にトラブルを解決したい場合には、全国にある消費者生活センターにご相談ください(消費者ホットライン「188(いやや)」に電話してください)。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー
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