中高齢者の医療保険の見直し。注意したいことって?
ファイナンシャルフィールド / 2020年7月20日 11時0分
新型コロナウイルスの感染拡大によって、全国の医療機関で指定感染症患者用の入院ベッド数が足りなくなり、通常の入院患者用のベッドやフロアが転用されている報道をよく見聞きしました。 人口減少・高齢化社会の進行で、日本の入院患者用ベッド数や医療関係者の数に余裕がある状態ではないことが明らかになりました。 病気やケガで入院することになっても、同じ患者が長期間ベッドを占領する長期入院をしにくい時代になっています。 入院1日あたり1万円前後の入院給付金が支払われる医療保険に加入している方は多くいらっしゃいます。 中高齢者になって月額5000円を超える保険料を医療保険に払っていく必要があるか見直すべき機会です。
中高齢者の保険見直しの前には人間ドック
保険の見直しでありがちな都市伝説・噂話に「保険を解約した途端に入院する」というものがあります。
科学的なデータに基づいているわけではありませんが、中高齢者になり、これまで加入していた保険が更新時期を迎え、保険料が高くなってしまったために保険を解約してしまう。
これまで若くて健康であり、特に病気になったことは無かったため保険を解約してしまう。
しかし、加齢や長年のストレス等によって健康状態が悪化していたことに気づかなかっただけで、保険解約後に体調不良になって病院を受診したら、異常が見つかって入院を勧められて入院をする。
このような事例が、噂話の原因になっていると推測されます。
中高齢者になれば、自覚症状が無くとも、身体になんらかの異常が生じていてもおかしくありません。
勤務先等で定期的に健康診断を受けていれば、ある程度異常は分かりますが、限られた項目しか検査しないため、隠れた病気の兆候となる異常を見落としている可能性があります。
中高齢者になったら一度、人間ドック等で身体を徹底的にチェックしてください。
人間ドックで内臓にポリープ等の早期の異常が見つかり、数日入院して手術をして、加入している医療保険から入院・手術給付金が支払われることもありえます。
自宅近くに人間ドックを受けられる医療機関が無い、あるいは遠方の人間ドックに宿泊を伴って受診するしか無く、仕事を休まないと受診できない、仕事が忙しくて休めない、といった理由で、人間ドックを受けられないこともあったでしょう。
しかし、現在は働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大防止のためのリモートワークの推奨で、数日間の休暇を取りやすいケースもあります。
医療保険の見直しの前に、人間ドックで自分の身体に異常が無いことを確認しましょう。
もし異常を発見したら、治療してから医療保険を見直しましょう。
重大な病気が見つかれば保険見直しは見送り
新たな医療保険に加入する場合には、病歴等の告知が必要になります。
完治していれば加入できる場合や、完治から数年間は完治部位に対する保障は対象外とする「部位不担保」を条件に加入できる場合があります。
しかし、重大な病気やそれにつながる異常、完治が難しい病気が見つかった場合は、今加入している医療保険を継続すべきであるため、注意が必要です。
重大な病気の代表は、ガン・心臓疾患・脳疾患のいわゆる三大疾病と呼ばれる病気です。
これらの三大疾病と診断されて条件を満たすと、今加入している保険に保険料が今後免除になる「保険料払い込み免除特約」が付いていれば、保険料を払い続けずに保障を継続できるかもしれませんので、確認しましょう。
また、三大疾病以外でも、将来悪化することで長期入院や手術をする可能性がある異常や病気が見つかった場合も、安易な見直しは控えましょう。
さらに、今は、基礎疾患がある方が新型コロナウイルスに感染すると重篤化しやすく、入院も長引く可能性があります。
該当する方は、ワクチンの開発や有効な治療法が確立するまでは、現在加入している医療保険を継続したほうが安心かもしれません。
中高齢者の医療保険見直し・節約には共済商品を
人間ドックで重大な疾病等が見つからなければ、医療保険の見直し・節約の実行です。
さまざまな保険会社・保険商品がありますが、中高齢者は共済商品に注目です。
多くの共済商品は、20代~50代まで一律の保険料(掛け金)のため、通常の保険では保険料が高くなる中高齢者にとって魅力的な保険料(掛け金)となります。
ただし、共済商品は60歳以降の保障内容が小さくなり、ある年齢以上の高齢者になると継続できません(終身保障の共済商品もあります)。
また、共済商品の保険料(掛け金)は魅力的ですが、60歳時点で重大な病気にかかっていると、終身保障の医療保険に加入し直すことができないため、40代や50代から終身医療保険に加入する方もいらっしゃいます。
しかし、現在は病歴があっても新規加入できる「引受基準緩和型医療保険」があります。
終身保障の医療保険を希望しているが、子どもの教育費等が大変なので家計の支出を抑えたいという場合、中高齢者が家計の苦しい時期だけ共済商品を選んで保険料を節約する保険見直し方法も選択できる時代となっています。
執筆者:西村和敏
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
宅地建物取引士
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