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坂上忍の白黒つけて何が悪い 最初の3分を観ただけで震えました チェン・アー監督による〝1カットが1枚の絵画〟「無名」

zakzak by夕刊フジ / 2024年4月26日 6時30分

「映画は総合芸術である」と言われるが、本作はその醍醐味(だいごみ)が存分に味わえる渾身(こんしん)の一作なのではないか。

とにかくライティングが素晴らしい。

陰影はもちろんのこと、全体を通して照明で世界観が確立されているのには驚いた。

カメラワークも然り。

カットのつなぎもよく、一見オーソドックスなカット割りに思えるのだが、「ここで、このアングルに入るのか?」と感心するほどに計算されている。

そして秀逸なのは音声なのである。

正直、総合芸術と言いながら、音声に関しては縁の下の力持ちというか、そこまで目立たないものなのだが、本作は音楽だけでなく、効果音が素晴らしいのである。

執拗(しつよう)な犬の鳴き声だったり、紙が擦れる音であったり、ひとつひとつの効果音がバンドでいうならば、ベースやバスドラの役割を担い、リズムを刻んでいるのだ。

ぶっちゃけ、わたしは最初の3分間を観ただけで震えました。

で、すぐに監督の名前をネットで検索し、調べたほど。

チェン・アー監督。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海」を手掛けた方と知り、納得。

今回は脚本と編集も担ったそうで、どんな脳みそをお持ちなのか、一度でいいからお話をうかがってみたいと思うぐらい、興味津々。

映画作りの内情を知る者として、この作品はとんでもなく時間がかかったと思うのです。

とにかく1カット1カットに対する熱情が半端ないの。

褒め過ぎかもしれませんが、1カットが1枚の絵画のような出来栄えなんです。

ってことは、ライティングからなにから、とんでもなく時間を要するということですから。

そう考えると、ここまで監督にこだわれる環境を与えたプロデューサーがすごいってことになるんですよね。

前置きがだいぶ長くなりましたが…。

舞台は中国・上海でございまして。第二次世界大戦下、中国共産党、国民党、日本軍の間でのスパイ合戦といいますか、だましだまされ。非情と情の間で揺れ動く男たち、女たちの物語なんですが、全編を通してダークで、物静かで、しかし心の中は激しく葛藤していて…。

まぁ、わたし好みの作品でありました。

主演はトニー・レオンとワン・イーボー。

トニー・レオンは安定の演技といいますか、とにかく色気がある。

ワン・イーボーは本業はアイドルらしいですが、かなりいい味を出してました。

やっぱり監督次第なんですかね。

アイドルをアイドルとして迎え入れるのか? いやいや、映画に出るんだったら関係ねぇぞと。アイドルのプライドなんて捨てねぇとトニー・レオンとなんか張り合えねぇぞと。そんなやりとりがあったかどうかは知りませんが、しっかりと役者の顔で頑張っておりました。

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