「大林作品を愛して下さったすべての人に監督の『ありがとう』をお伝えしたく存じます」 妻・大林恭子さんコメント全文
ガジェット通信 / 2020年4月14日 19時15分
『転校生』(82)『時をかける少女』(83)などの映画作家・大林宣彦さんが4月10日(金)に息を引き取りましたが、訃報に際して、株式会社PSC代表取締役であり、監督作品のプロデューサーを務めてこられた、ご夫人の大林恭子さんよりコメントが到着しましたので、全文ご紹介いたします。
■関連記事:映画作家・大林宣彦さん逝く “尾道三部作”など数々の名作を残す 最新作が近日公開
<報道の皆様、たいへんお世話になりました。>
この度、監督は、次回作のロケハンに出かけました。連日連夜、映画の夢の中、撮影現場にいるらしい監督は元気な声で「ヨーイ、スタート。カット。オーケー。皆、お疲れさん、ありがとう」。毎晩その楽しそうな声に私は目を覚まし、「お疲れさま、ありがとう」と答えていました。数日前、真夜中に講演らしきお話をしていました。そんな中「岩井君、手塚君、犬童君、塚本君たちが映画をつないで平和な世の中に……」と、とぎれとぎれ聞こえてくる言葉、いつもと変わらない最後の言葉「ありがとう」。そして、監督が繰り返した「皆さん、ありがとう」を監督の遺言としてお伝え致します。
私との63年間の日々は、文学と音楽と映画の日々。いつも監督の口癖は「眠るのは死んでから充分眠れるのだから眠るなんて勿体ない」と本当に眠りませんでした。今頃、ロケハンの途中の天国村で、黒澤明監督や本多猪四郎監督、立川談志さん、高畑勲監督、和田誠さんにお会いして、映画談義が尽きることなく、やっぱり眠っていないのではと思います。
まだまだあふれる才能の持ち主、彼にあと三倍の映画の時間をあげたかった。大林作品を愛して下さったすべての人に監督の「ありがとう」をお伝えしたく存じます。
「ありがとう」の言葉に、毎晩、私からも監督に「ありがとう、愛してる」と真夜中の涙。
すると「お休み……」と返事が…。今頃ロケハンで未知なる道を見つけてくれていることと思います。
2020 年 4 月 14 日 大林恭子
『海辺の映画館-キネマの玉手箱』公開に向けての大林宣彦監督のコメント
「自由に生きよ、それが平和の証だ」と父に言われ、当て所も無く18歳で上京した僕に、形見代りに持たせてくれた8ミリ映画を用い、銀座の画廊の一角で自作の8ミリ映画を上映した所、「新しきフィルム・アーチスト誕生」と世界から認定され、以降60年間テレビCM演出を資金に個人映画を創り続けて来ました。
東宝映画からの招きで、門外漢が初めてメジャーの撮影所内で撮った『HOUSE/ハウス』から、ジャンルを選択すれば如何なる純文学も商業映画になり得ると学び、あの太平洋戦争の純真な軍国少年であった体験を元に、様々なジャンルの映画にその思いを潜めつつ「厭戦映画」を作り続けて来ました。
「売れない作家の女房になる覚悟」で61年間、僕の映画を支え「私が最初の観客よ」と世界と僕の映画を結びながら共に生きて来た大林恭子と、11 歳で『HOUSE/ハウス』の原案者に名を連ねた長女千茱萸、ご亭主の絵の作家森泉岳土、そして親しい旧・新の世代の仲間たちと、今日も映画作りに励んでおります。
時代はいつか、個人映画ばかりになり、僕が願った映画作りの世になりました。その個人の自由と権力者の不自由の証を、愉しんで下されば、と。僕の正体が炙り出されれば、愉しいかな。
●タイトル:『海辺の映画館-キネマの玉手箱』
●コピーライト:(C) 2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC
●公開表記 :近日公開
●配給:アスミック・エース
監督:大林宣彦
出演:厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦、吉田 玲(新人)、成海璃子、山崎紘菜、常盤貴子
製作:『海辺の映画館-キネマの玉手箱』製作委員会
製作協力:大林恭子
エグゼクティブ・プロデューサー:奥山和由
企画プロデューサー:鍋島壽夫
脚本・編集:大林宣彦
脚本:内藤忠司/小中和哉
音楽:山下康介
撮影監督・編集・合成:三本木久城
VFX:塚元陽大
美術監督:竹内公一
照明:西表燈光
録音:内田 誠
整音:山本逸美
配給:アスミック・エース
製作プロダクション:PSC
(C) 2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC
(執筆者: ときたたかし)
―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』この記事に関連するニュース
-
映画を自分ごととして〈わかる〉〈おもしろい〉ってどういうことだろう? と考えた「異人たち」「異人たちとの夏」「94歳のゲイ」【二村ヒトシコラム】
映画.com / 2024年5月4日 20時0分
-
大活躍の藤井道人監督、日台合作映画に込めた思い!「フラストレーションを溜めていた時期に出会えた作品」 「青春18×2 君へと続く道」インタビュー前編
iza(イザ!) / 2024年5月4日 15時0分
-
四宮義俊、初の長編アニメーション監督作『A NEW DAWN』カンヌ映画祭ショーケース選出
ORICON NEWS / 2024年4月28日 6時0分
-
山田太一の傑作小説が再びスクリーンに。アンドリュー・ヘイ監督最新作『異人たち』
バイクのニュース / 2024年4月20日 18時0分
-
日本映画大学の学生が5月10~12日まで第9回学生企画上映会「花火と爆弾」を川崎市アートセンターで開催 ― 塚本晋也監督、古居みずえ監督、大林千茱萸監督がゲストトーク
Digital PR Platform / 2024年4月19日 8時5分
ランキング
-
1ノリノリの音楽とともに敵を殲滅!リズムゲー要素ありなローグライクシューティングは日本語にも対応―採れたて!本日のSteam注目ゲーム8選【2024年5月16日】
Game*Spark / 2024年5月16日 22時0分
-
2小室哲哉も視聴済み 「Get Wildだと思ったらにんげんていいなだった」が約20万再生の人気で「このセンスほんと好き」「最高www」
ねとらぼ / 2024年5月16日 20時30分
-
3鋭すぎて取り扱い注意! 日本では珍しい先端0.1mmのテストリードが1400円
ASCII.jp / 2024年5月16日 10時0分
-
4「あて所に尋ねあたりません」 日本郵便の“404エラーページ”がおしゃれと話題 「センスいい」「遊び心よ」
ねとらぼ / 2024年5月16日 16時0分
-
538歳独身のイケメンアナ、マッチングアプリの“なりすまし”に注意喚起 「きちんと出会いたい方々にも失礼」と苦言呈する
ねとらぼ / 2024年5月16日 19時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください