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「女が自分の力で生きるなんて無理」な時代を突き破らんばかりに走る『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』:映画レビュー

ガジェット通信 / 2020年6月12日 17時0分

ルイーザ・メイ・オルコットの自叙伝的小説『若草物語』を原作に、『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグとシアーシャ・ローナンという黄金コンビが再び集った『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』。アカデミー賞6部門ノミネート、圧倒的な瑞々しさと意志が溢れる作品だ。

メインビジュアルで使われているカットもそうだが、シアーシャ演じるマーチ家の四姉妹の次女・ジョーの勢い良く走る姿が鮮烈に印象に残る。ジョーの目線の先には小説家になるという目標のみがあるわけだが、19世紀当時のアメリカは劇中のセリフにあるように「女が自分の力で生きるなんて無理」な時代であり、「女にとって結婚は経済問題」であった。だからこそジョーは、時代を突き破らんばかりに勢い良く走る。

変革には巨大な痛みが伴う。心を通わせる近所に住む資産家の一人息子・ローリー(ティモシー・シャラメ)にプロポーズされたジョーは、思わず「結婚したら人生終わりよ」と口走る。猛烈な孤独を感じながらも、ジョーは走り続ける。そんなジョーが切迫感の中で「私の少女時代が終わっちゃう」と口にするシーンは、女性の社会進出というテーマを越えて、すべての夢に向かって突き進む人々にとって胸に迫るシーンではないだろうか。

シアーシャに加えて、マーチ家の四姉妹を演じるのは、エマ・ワトソン、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン。母親役はローラ・ダーンで伯母役がメリル・ストリープ。才気溢れる豪華な女優陣の共演もとても見ものだ。

そして、いくつかのメディアでファッションシュートが行われていたのがシアーシャ・ローナン×ティモシー・シャラメ。マニッシュなシアーシャ、フェミニンなティモシーというある種ユニセックスなムードを感じる写真が示唆的ではあったが、劇中でも、エネルギーに溢れ凛とした男の子的な名前を持ったジョーと、孤独と憂いを宿しまっすぐにジョーに愛をぶつける女の子的な名前を持ったローリーの対比は、とても知的で可憐で、観ているだけでこちらまで潤ってくるような瑞々しさだ。

【書いた人】小松香里

編集者。音楽・映画・アート etc。ご連絡はDMまたは komkaori@gmail~ まで

https://twitter.com/komatsukaori_

https://www.instagram.com/_komatsukaori/

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

https://www.storyofmylife.jp

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』

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