先輩GK東口から受け継ぐ「諦めない心」。進学校・洛南は連続失点も諦めない戦い
ゲキサカ / 2018年5月24日 11時0分
[5.20 総体京都府予選準々決勝 東山高 8-0 洛南高 東山高総合G]
点差が開いても、自分たちがやるべきことは変わらない。新人戦優勝校の東山高に挑戦した洛南高は0-8で悔しい敗戦。だが、失点を重ね、白星が遠のく状況になっても諦めずに全員で攻め続けていた姿が印象的だった。
ビッグセーブを連発していたGK小泉愛斗(3年)やCB野田功樹(3年)らDF陣の奮闘に応えようと、攻撃陣は反撃。FW堂前陸(3年)やMF石原嵩大(3年)、FW伊藤僚冶(3年)がサイドから仕掛けてクロスへ持ち込み、スキル高い10番MF早坂千紘主将(3年)がドリブルシュートを狙う。34分には早坂のラストパスを受けた2年生MF山崎凜太郎が右足を振り抜いた。
延期された4回戦が17日に組まれ、中2日での戦い。13日に4回戦を戦った東山に比べると日程面の不利もあった。インターハイ、選手権にそれぞれ2度出場している洛南は京都府を代表する進学校。わずか8人の3年生中心に活動してきた洛南は前半途中からMF水内智也(3年)、後半にはMF富内咲人(3年)も投入し、全員で懸命に走り続けた。
しっかりとシュートコースを塞いでくる東山から最後まで1点を奪い取ることはできず、0-8で敗戦。悔しさをにじませていた早坂だったが、「今までずっと遠征とか行って、ボコボコにやられてた時もみんなで前向いて、絶対に1点を獲りに行こうとやってきた。そういうことはできたかなと思います」と自分たちがやるべきことをやり抜いたことについては胸を張っていた。
洛南の永楽剛史監督は、同じく洛南出身の日本代表GK東口順昭の3学年先輩に当たる。日本代表27名が発表された後に東口から「やるしか無いです」という連絡があり、それは選手たちに伝えたのだという。東口はG大阪ジュニアユースからユースチームに上がることができず、私立校のセレクションも落選。そこから洛南へ進学し、福井工大から新潟経営大への転入を経て新潟でプロ入りを果たした“苦労人”だ。
地道に這い上がって15年にA代表デビュー。今年4月には右頬骨骨折および右眼窩底骨折の重傷を負いながらも、それを乗り越えてW杯代表入りに前進している。また、永楽監督は作陽高コーチ時代、3年ぶりに日本代表に復帰したMF青山敏弘(広島)も指導。東口や青山の「一生懸命やっていくことが先に繋がっていく」ことを選手たちに伝え、「弱者である我々も(諦めずに)向かって行こう」と強敵・東山に最後まで向かっていった。
「(先輩に負けじと)僕らもやってやろうと、ここで勝って周りの下馬評を覆してやろうと思った」(早坂)という戦いだったが、急造の5バックが不発に終わるなど、挑戦は跳ね返された。それでも永楽監督は「みんな頑張って、諦めずに一生懸命点を獲りに行ってくれたことは良かった」とコメント。そして、「最後3年生全員出て、引退する選手もいる。続けてやるモノはこの悔しさを持って再挑戦して欲しいですし、受験の子も頑張って欲しい」とエールを送った。
早坂は「一番にならんとみんな知ってくれないので、そこを目指して選手権では絶対に結果を残したい」。チームのモットー、そして先輩たちから学んだ「諦めない心」を持って洛南は挑戦を続ける。
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校総体2018
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