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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:あの日の決意表明(アルビレックス新潟・新井直人)

ゲキサカ / 2019年3月6日 12時24分

ジェフユナイテッド千葉対アルビレックス新潟の後半アディショナルタイム、J初ゴールを決めた新潟新井直人は背中の“32”の数字を両手の親指でアピール

東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 涙に濡れた瞳のまま、きっぱりと言い切ったあの日の決意表明を覚えている。その言葉を叶えるため、どれぐらいの努力を重ねたのだろうか。その想いを手繰り寄せるため、どれぐらいの犠牲を払ったのだろうか。「4年後には絶対プロになります。だから、また試合を見に来てください」。32番という大きな背番号を与えられた青年はまさに4年後、その言葉を叶え、その想いを手繰り寄せて、“プロのピッチ”に立っていた。

 2014年12月23日。神奈川県立保土ヶ谷公園サッカー場。実践学園高の3年生にとって文字通りのラストゲームがやってくる。関東1都7県のリーグチャンピオンが集い、翌シーズンへの“置き土産”を巡って争われるプリンスリーグ関東参入決定戦。彼らは初戦の習志野高戦に延長終了間際の劇的なゴールで競り勝ち、ヴァンフォーレ甲府U-18との決戦へ駒を進める。11年ぶりのプリンス関東復帰へ王手を懸けたチームの中に、新井直人の名前はあった。

『心で勝負』をスローガンに掲げる実践学園にあって、指導スタッフ陣も歴代で屈指の“心”を有した代と認めていたのが、この年の3年生たち。ところが、総体予選は1次予選で成立学園高に屈し、選手権予選は決勝で國學院久我山高に惜敗。全国には手が届かなかっただけに、T1リーグ(東京都1部)王者として臨んだこの大会でのプリンス昇格は、残された唯一の誇るべき成果となる。加えて彼らを時に厳しく、時に温かく指導してきた元日本代表選手の野口幸司コーチが、この年いっぱいで退任することも決まっていた。後輩のため。野口さんのため。様々な思いが交錯しつつ、最後の1試合は幕を開ける。

 右サイドバック。ボランチ。1トップ下。数々のポジションをこなしてきた新井が、この一戦で託されたのは4バックの右センターバック。チームを支えてきたゲームキャプテンが負傷を抱えていたため、器用な彼が本職ではない位置に配される。ヒリヒリするような緊張感の中、新井は守備面で安定したパフォーマンスを披露しながら、得意のロングスローでチャンスを演出するが、後半開始早々に先制点を献上すると、追加点も奪われてしまう。終盤には新井の蹴ったFKとCKから決定機を掴んだものの、ゴールは遠く、ゲームはそのまま0‐2でタイムアップ。彼らの高校サッカーは横浜の地で終焉の時を迎えた。

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