最終節のブーイングは「去り際かなと…」酒井高徳を直撃、日本復帰の可能性は?
ゲキサカ / 2019年6月6日 23時13分
―自分たちの目指すサッカーを貫くことと、相手に合わせて対応することのバランスは非常に難しいですね。
「僕らの場合は理想が強すぎたのかもしれません。相手がプレッシャーに来ても、それをかいくぐるようなボールポゼッションをしたいし、それができるだけのクオリティーもあると、いい意味での自信を持っていました。でも、それがうまくいかなくなって、前線に速い選手を置いてロングボールを使うようなサッカーに少しずつシフトチェンジしたとき、ボールを回したい選手と、(監督から)『走れ』と言われている前線の選手がいて、そこでいい関係を築けなかった。チームとしてチグハグした状態が続いて、変えないといけないところに対応できなかったことが後半戦の僕らの出来を象徴しているのかなと思います」
―クラブとしてもサポーターとしても初めての2部リーグでした。そういう意味でも適応が難しかったのでしょうか。
「ファンもクラブも、今まで積み上げてきた歴史に誇りを持っています。何十年もこのクラブを見てきて、“ハンブルクはこうあるべきだ”“ハンブルクは強くなくちゃいけない”というのを強く持っています。どうしてもファンの方は『2部だったらダントツで昇格できるだろう』と思ってしまいますし、ホームだったらなおさら2部のチームに負けるはずがないと。そうすると、ホームで何試合かうまくいかないと、僕ら選手がしびれを切らす前にファンの方がしびれを切らしてしまうんです。ブーイングもそうですし、スタジアムの雰囲気もそうです。勝たないといけないんだというプレッシャーは、自分たちの中から出てくるものであればいいのですが、周りのリアクションに対して感じると、『今、僕らは良くないんだ』『早く良くしないといけない』と委縮する選手も出てきます。そういうときこそ一丸とならないといけないのに、ハンブルク全体にそういう雰囲気が生まれてしまった。監督を代えろ、強化部長を代えろ、あの選手はいらない――。サッカーの街なのでそういう声、情報は嫌でも目に入ります。平均年齢の若いチームで、そういうことを経験したことのない選手も多いので、そのプレッシャーに負けてしまった選手も何人かいたのかなと思います」
初めてのブンデスリーガ2部での戦いを振り返る
―そんな中、最終節では途中出場した酒井選手に対してブーイングが飛びました。
「ショックでしたね。どうやってチームに貢献したらいいかを試行錯誤し続けたシーズンでした。後半戦、チームの戦い方が変化していったときに自分もうまくチームに馴染めなかったのもありますし、自分もなかなかパフォーマンスが上がっていきませんでした。うまくいかなかったシーズンだとは思っていました。でも、サッカーは11人で戦うもので、ベンチメンバー、メンバー外の選手も含めてみんなで戦った結果であるはずなのに、自分一人に対してブーイングが起きるというのは、プロとして理解しないといけないと思う反面、ちょっと的外れじゃないかというのは自分の中で感じていました。単純にショックでしたし、チームが3-0で勝っている状況で、残り10分もありませんでした。4年間、このクラブに所属して、日本人でキャプテンもやらせていただいて、残留も降格も経験して、それでもチームに残って、すべてを懸けてやってきました。それがあの一瞬で……。昇格を逃したのは残念な結果ですが、それなら僕が試合に出ていなかったら昇格できていたのかという気持ちにもなります。スタジアム内で、しかもホームで、というのはすごく悲しい気持ちになりましたし、今まで自分がやってきたことは、この人たちにとってはそれほど重要なことではなかったんだなと。このクラブに忠誠を誓った自分が情けなくなってしまったというか、僕の知っているハンブルクはこんなハンブルクではないと、非常に残念な気持ちになりました」
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