予選から8試合目で初失点し、相棒は涙。1年時から2人で助け合ってきた東福岡CB山禄涼平「自分が悪い」

堅守・東福岡高を支えてきたDFリーダー、CB山禄涼平(3年=ブリジャール福岡FC出身)。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権準決勝 東福岡高 1-3 前橋育英高 国立]

「最後の試合で立て続けに失点してしまって、3失点して結果で負けてしまったのは、ディフェンスラインの選手としてもほんとに悔しいですし、チームに申し訳ないなっていう気持ちがたくさんあります」。堅守・東福岡高(福岡)を支えてきたDFリーダー、CB山禄涼平(3年=ブリジャール福岡FC出身)は3失点のラストマッチを悔しがった。

「ほんとにオノノジュ選手や、佐藤選手が持ったら強く行けてる部分が多かった」という前半。前橋育英高(群馬)の強力2トップ、FWオノノジュ慶吏(3年)とFW佐藤耕太(3年)にボールが入っても仕事をさせず、被シュートゼロで45分間を終えた。

　だが、後半3分に福岡県予選から8試合目で初失点。この1失点からリズムが崩れてしまう。チームメイトが攻めに出ようとする中、「相手がさらにギアを上げてきたところで対応し切れなかったり、声かけが足りなかった。自分たちのミスかなって思います」と山禄。自分たちが徹底してきた帰陣の速さに遅れが生じ、連続失点を喫してしまった。

　前橋育英の同点ゴールはCBコンビを組むDF大坪聖央(3年)が相手FW佐藤にビルドアップをカットされてから喫したもの。山禄はカバーして佐藤のシュートコースを消そうとしたが、左足でゴールへ押し込まれてしまった。大坪とは互いに幾度もカバーし合ってきたが、国立準決勝で初失点。好守を見せた一方、自身のサイドから2点目も奪われた大坪は試合後、涙が止まらない。山禄は1年時からともにチームを支えてきた相棒を庇い、責任の矛先を自身に向けていた。

「(大坪)聖央とは1年の時からずっとセンターバックを組んできて。お互い信頼関係を持ってやってきていて、聖央がミスする部分もありましたし、自分もミスする部分もあったので……やっぱり最後の部分でお互いのミスも多くありましたし、そういうところで聖央のミスをカバーし切れなかったのは、ほんとに自分が悪いかなっていうのがあります」。

　山禄は失点してからの立ち振る舞いについても課題に挙げた。「県大会から失点していなくて、その部分で失点してからの立ち振る舞いっていうのは、やっぱり自分たちがまだ選手権の舞台で経験したことないところだったんで、その部分では相手のムードになってきたのを盛り返せなかった。いつも声掛けている自分の声が足りなかったのかなっていうのは率直に思います」と唇を噛んだ。

　そして、「色々な自信を掴みましたけど、最終的には悔しい大会だった」。それでも、的確なカバーリングやシュートブロックを駆使し、大坪とともに東福岡が9大会ぶりに全国4強入りする原動力になったことは確か。今大会屈指のCBは、「今の1年生だったり2年生はさらに上の舞台に絶対行ってくれると信じている」と後輩たちにエールを送り、高校サッカーを終えた。

(取材・文　吉田太郎)

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