『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:キラキラ(前橋育英高・石井陽)
ゲキサカ / 2025年1月16日 19時32分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
すべてはこの瞬間のために、長く苦しい1年間を過ごしてきたのだ。無数のカメラのレンズが向けられる中、中央へと歩み出てタイミングを確認する。溜めて、溜めて、国立の空へと掲げた優勝カップは、日本一を喜ぶみんなの笑顔は、メチャメチャ眩しく輝いていた。
「本当にキラキラして見えましたね。苦しい想いをしてきたからこそ、より輝くものがあったのかなって。この仲間と、この景色を見られて、本当に良かったです」。
2つの重責を最後まで担い切った、頼れるリーダー。前橋育英高(群馬)の『14番のキャプテン』を託されたMF石井陽(3年=前橋FC出身)が、正しいと信じて突き進んできたいばらの道の先には、今まで見たこともないような、最高の景色が広がっていた。
初めて見た時から、すぐに感じた。「ああ、きっと『14番のキャプテン』になるんだろうな」と。2年前の2月。新人戦群馬県大会準決勝。体格の良い選手がそろった前橋育英の中で、一際小柄な1年生ボランチには、もうその雰囲気が備わっていた。
「育英と言ったら14番なので、そこへの憧れはあります。今まではそんなに背番号は気にしていなかったんですけど、(徳永)涼さんが付けている姿を見ていて、『オーラがあるな』というか、『カッコいいな』という憧れを持ち始めて、いざ自分が試合に出始めてからは、『14番を付けてみたいな』という想いが出てきました」。
あどけない笑顔を浮かべながら、まっすぐな瞳でこう話していたことをよく覚えている。無理もないことだが、今から振り返れば、そのころの石井にはまだ『前橋育英の14番』を背負う重みも、本当の意味ではわかっていなかったのだろうとも思う。
プレミアリーグEASTが開幕すると、7番を付けた石井はボランチの定位置を確保。チームの中でも存在感を高めていく。試合の中では獰猛に相手とボールへ食らい付いていくが、ひとたびピッチを離れれば、柔和な笑顔も印象的な普通の高校生。目立ったパフォーマンスを披露することも多く、話を聞く回数も自然と増えていく。
ただ、チームにはなかなか望んだような結果が付いてこない。秋口に石井が話していた言葉を思い出す。「もう3年生とやれる時間も少なくなってきている分、悔いなく戦ってほしいと思うので、2年生の自分たちが戦うところでは身体を張って、3年生たちもそれに乗っかってくれることが一番良いと思います」。
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