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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:キラキラ(前橋育英高・石井陽)

ゲキサカ / 2025年1月16日 19時32分

 サドンデスに入った8人目。「陽は去年から試合に出ていて、今年も先頭に立ってみんなのリーダーとして頑張ってくれていましたし、『外してマジでゴメン』と言っていたので、絶対に『自分が止めて勝ってやろう』と思っていました」と笑った藤原が、愛工大名電の選手のキックを完璧な反応でストップする。

「インターハイ予選に続いて、また自分が外してしまったので、本当に責任を感じていたんですけど、今日は藤原に助けられたなと思います。もう本当にホッとしましたし、みんなに迷惑を掛けて申し訳ないなという想いが強かったです」。

 泣きじゃくる14番に、次々とチームメイトが笑顔で駆け寄ってくる。みんなわかっていた。どれだけのプレッシャーと、どれだけの責任感を背負って、キャプテンが戦ってきたかを。いつしかこのチームの中には、石井を中心に揺るがぬ絆が生まれていたのだ。


 1月12日。日本一を懸けて挑む決勝前日。石井は穏やかな笑顔を湛えていた。「実感がないんですよね。明日で終わっちゃうことはわかっているんですけど、『まだ続きそうだな』という感じが凄くあって、みんなともよく話すんですけど、『これで引退なのかな』って。今日の練習も3年生にとっては最後の練習で、何となく寂しい気持ちもあるんですけど、本当にまずは明日の決勝の舞台に立てることにワクワクしています」。

 もちろん“決勝の国立”はシーズンが始まった時から目指し続けてきた場所だけれど、ハッキリ言ってここまで来ることができるとは、思っていなかった。プレミア開幕3連敗。インターハイ予選の準決勝敗退。そして、チームメイトとの間に生まれた溝。何度も暗闇の中に突き落とされたような気分を味わい、何度も今いるところから逃げ出したくなった。

 それでも、諦めなかった。諦め切れなかった。このみんなと国立競技場で、最高の景色を掴み取る。その一心で苦しい日常にも耐え、ようやくここまでたどり着いたのだ。対峙するのは流通経済大柏高(千葉)。前橋育英にとっては第96回大会の決勝でも激突した因縁の相手。石井はその一戦を見たことが、この高校へと入学する1つの決め手にもなったという。

「自分が見ていた景色を、今度は自分がいろいろな人に見せる番だと思うので、いろいろな人の想いを背負って、責任を持った試合をしていきたいと思います」。

 泣いても、笑っても、あと1試合。勝つ。絶対に勝つ。勝って、『14番のキャプテン』の最後の仕事として、優勝カップを掲げ、みんなと最高の笑顔で喜び合う。そのイメージだけを携えて、石井は決戦へと向かっていく。

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