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脳卒中の後遺症で低下した「機能」や「能力」はどのように向上するのか?【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月10日 9時26分

【正解のリハビリ、最善の介護】#23

 脳卒中や脳外傷などで後遺症が出た時、「元通りに回復したい」と思うのは当然の気持ちです。

 ただ、そうした病気やケガで大きな脳損傷が生じた場合、必ず後遺症が残り「機能障害」が起こってしまいます。麻痺で手足が動かない、手足がしびれて動きがわからない、顔が動かせない、目が見えない、耳が聞こえない、うまく話せない、話が理解できない、計算できない、食べ物をのみ込めない、記憶できない、注意力がなくなる……さまざまな障害が現れるのです。

 脳卒中などの場合、こうした機能障害の後遺症は、重症度にもよりますが約3~6カ月で回復のピークを迎えます。つまり、運動麻痺、感覚障害、嚥下障害、言語障害、高次脳機能障害といった機能障害がどの程度残ってしまうかは、おおむね発症後3カ月でわかるということです。その3カ月間は、時間とともに脳組織が安定し、脳浮腫や炎症が改善して機能が回復していきます。その過程で、壊れた脳神経細胞や神経線維の部分は機能障害が残り、その重症度が決まるのです。

 このように機能障害が残ってしまったら、それ以上は回復できないのかというと、そうではありません。機能障害は残っても、その「能力」をも回復させようとする医療がリハビリ医療なのです。機能障害により落ちてしまった能力(歩く、食べる、排泄する、衣服を着脱する、顔を洗う、入浴する、清潔を保つ、話す、人と触れ合うといった日常生活を遂行するための行動)をできるだけ元通りに取り戻すため、リハビリを行うのです。

■「FIM」と「BI」で評価

 その能力障害や回復の指標として使うのが、以前もお話しした「FIM(機能的自立度評価法=日常活動を行う際の個人がしてることの自立レベルを評価する指標)」と「BI(バーセルインデックス=できる能力の指標)」です。実施しているリハビリが適切に効果を出しているかどうか、リハビリ訓練に修正が必要なのかどうかなどをこれらの指標で確認できるため、とても重要な指標になります。

 FIMは“している能力”の評価で、BIは“できる能力”の評価になります。ですから、当然、FIMの値は低くなります。とりわけ、認知症や精神・高次脳機能障害が重度である場合は、本人が何もしようとしないため、FIMは非常に低くなってしまいます。

 FIMは「セルフケア」と、「交流・社会的認知」で評価します。セルフケアの評価は、食事、整容、入浴洗体、上半身更衣、下半身更衣、トイレ動作、排尿、排便、ベッド移乗、トイレ移乗、風呂移乗、歩行、階段昇降という13の運動項目で行います。なぜ、この13項目が重要かというと、これらの運動項目を自分でできれば、介助がなくても自宅退院が可能になるからです。

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