創業者がマネロンで逮捕・起訴…20年で業界2番手に拡大した「名校」はどんな集団か(姫田小夏)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月9日 9時26分
東京・高田馬場駅に大きな看板(C)日刊ゲンダイ
【日本で急成長 中国系「留学生ビジネス」】#1
日本への進出著しい中国資本が、日本の教育業界にも入り込んでいる。近年熱い“留学生ビジネス”。中国人向けの予備校や日本語学校などの経営がそれだ。
先月、「名校教育グループ」(東京・新宿)の元代表が、特殊詐欺などの被害金のマネーロンダリングに関わった疑いで逮捕された。今はすでに解任されているが、逮捕・起訴された豊原明被告は「名校志向塾」の創設者であり、中国人留学生向けの予備校や日本語学校などを多角的に経営してきた。
起訴事実は、他人名義で暗号資産の口座を開設し、被害者が詐欺グループの金融機関口座に振り込んだ現金を移転させるという資金洗浄である。洗浄した被害金額は50億円にのぼるというが、本人は否認している。
■中国語で「名門校」の意
名校とはどんな集団なのか。中国語で「名門校」を表す名校は、豊原被告が創業した教育機関で、この20年にわたり中国人向けの予備校や日本語学校などを展開してきた。東京の高田馬場駅で最も目を引くのは「名校志向塾」の大きな看板であり、今や京都、大阪、中国、台湾にも拠点を広げている。
豊原被告は中国の出身で、帰化する前の名は魏大比だった。1981年に福建省で生まれ、17歳で来日。2003年に東京工業大学を卒業した後、東京大学で博士号を取得する。04年に創業し、09年に株式会社名校教育グループ代表取締役社長になった。豊原被告が目をつけたのは、「中国人留学生を相手にした進学ビジネス」だった。
今でこそ高田馬場駅界隈は中国人向けの予備校が林立するが、業界最大手といわれる行知学園(東京・新宿)が市場をリードし、名校はそれを追い2番手まで成長した。名校の生徒数も20年には2000人を超え、難関校への進学者も100人以上の実績を叩き出すようになった。ちなみに名校の生徒はほぼ中国人留学生で、23年度は東大11人、早稲田23人、慶応34人、一橋10人、東工大7人を筆頭に多数の大学合格者を出した(一部重複合格あり)。
環境の変化も名校を後押しした。中国人の所得が上がり、2010年を前後して中国人の来日目的が「出稼ぎ」から、名門大学での「学位取得」にシフトする。予備校としての「名校」はこうした変化の中で発展段階に突入していった。新型コロナウイルスが蔓延する直前の従業員への福利厚生は、海外旅行が定番だったという。
今回の事件について名校は、豊原被告の個人的な行為としている。 (つづく)
(姫田小夏/ジャーナリスト)
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