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中国資本による日本語学校経営の功罪…「企業統治」に難、一目置くべきは「合理化」(姫田小夏)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月12日 9時26分

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急拡大ゆえに…(C)日刊ゲンダイ

【日本で急成長 中国系「留学生ビジネス」】#4

 10万人を超える日本の中国人留学生市場を相手に、事業を急拡大させる中国系の留学生ビジネスだが、急拡大ゆえの組織基盤のもろさや、企業統治や情報開示が追いつかない現状が指摘されている。特に「トップダウン型」の中国系企業には、「従業員全体の参加で社内をよりよく」の気概に乏しいところもある。

 ある中国系の日本語学校の事務職は「内部組織はあまりにお粗末。すべて日本語教師に押し付けで、幹部は問題を見て見ぬふり。校内環境を向上させようという意識などほとんどない」と明かす。日本語学校を買収したはいいが、「学校づくり」「会社づくり」においては“お手上げ”のようだ。

 また日本語学校の中には、中国人の日本語教師の採用を積極的に行っているところもある。「給料に不満を持つ日本人教師と入れ替わるようにして、最近多くの中国人教師が教壇に立つようになった」という話もある。

 雇用までも置き換えが進んでいくのかと、ヒヤリとさせられるが、中国人留学生からは「複雑な文法は中国人教師から教えてもらった方がわかりやすい」という声も上がる。考えてみれば、日本の学校教育でも生徒は日本人から英語を学んでいる。だが、発音や助詞の使い方が不得意で、中国人教師には“日本語ネーティブ”のようにはいかないハンディもある。そこは補完関係が必要とされるところだ。

 コロナ禍を脱し、日本も少子高齢化を見据えその門戸を対外開放する中、日本語学校のビジネスは拡大期にある。留学生の受け入れをさらに積極化させている中国系日本語学校も散見されるが、その影響が留学生に及ぶことも。「国の基準を満たしているとはいえ、こんな狭い教室で“すし詰め”で学んでいるのか」と驚きを隠さない日本語教師もいる。

 何かと世の中を騒がせてくれる「中国系」だが、一目置くべき点もある。それが学校運営の「いい意味での合理化」だ。

 日本の学校現場はどこも教師にしわ寄せがいくのが常だが、大手・中国系資本の日本語学校の中には、日本資本の学校を反面教師に、専門チームをつくって対応するところもある。これにより、教師を「時間がかかる授業準備」「出席率の管理」「進路指導」などの煩わしさから解放しているのだ。

 あえて大手・中国系の学校で教えてみたいという日本人男性は「何より教師が教務に専念できるのがいい。日本資本にありがちな面倒くさい人間関係もなさそうだ」とポジティブに受け止める。時給も日本資本の日本語学校よりも割高だ。

「働き方改革」の蚊帳の外に置かれた日本語学校業界では、今なお「低い給料水準」が不満の種となっているが、「質の高い中国系が改革をリードできるのではないか」と、男性は前向きだ。

(姫田小夏/ジャーナリスト)

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