予備校→日本語学校→専門学校と急拡大…中国人相手の教育事業「一網打尽」モデルは熾烈な競争の象徴(姫田小夏)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月10日 9時26分
留学生市場は拡大(C)日刊ゲンダイ
【日本で急成長 中国系「留学生ビジネス」】#2
日本にいる外国人留学生は今や23万人。そのうち中国人留学生は10万人を超える。4割超を占めるのが中国人留学生で、これを相手にしたビジネスに注目が集まっている。
3月にマネーロンダリング容疑で逮捕、起訴された福建省出身の豊原明被告(中国名・魏大比)。彼が20年前に手掛けた「中国人相手の教育ビジネス」も、市場先駆けの一社として瞬く間に拡大した。日本の難関校受験を目的とした中国人留学生向けの予備校「名校志向塾」を立ち上げると、次に日本語学校との提携を始めた。名校のホームページによると、出入国管理及び難民認定法の条件を満たす告示校扱いの日本語学校2校、それ以外にも複数の学校を運営していることがわかる。
2010年初頭に豊原被告と接触した経験を持つ教育関係者は、印象をこう語っている。
「当時、日本語学校の管理職だった私の元に魏氏(現在は豊原姓)から、『大学進学を目指す中国人留学生を紹介してほしい』という連絡が入りました。学生数を確保するためのパートナー探しが目的でしたが、そこには日本語学校経営のノウハウを吸収したいという意欲も感じられました」
■多角的にうまみ
その後、豊原被告は日本語学校の経営に乗り出していった。
アニメ関連の専門学校を経営する都内の学校法人の理事長職にも豊原明の名前があり、予備校→日本語学校→専門学校と経営範囲を急拡大させてきた様子がわかる。
予備校経営はあくまで首都圏の在留中国人が対象だが、日本語学校を経営すれば留学ビザの発給対象になるため、中国から“客”を引っ張ってくることができる。専門学校にもうまみがある。前出の教育関係者は「日本語学校はあくまでも日本留学のプロセス。日本の大学や専門学校というゴールを押さえるビジネスモデルはうまみが大きい」と話す。
出版事業にも手を広げた。14年には中国で参考書を、19年には「日本留学試験」の試験対策本を日本と中国で出版した。後者のテキストは新宿・紀伊国屋書店でも販売されている。日本の就職サイトによれば前述の専門学校も「中国人留学生が大半を占める」という。また、中国人の若者の中で美大志望者が急増しているため、近年は美大受験のための専門コースも創設した。日本に在留する中国人子女に向けた中学受験の専門塾さえあるという。
こうした多角化は名校だけにとどまらない。関連するあらゆる領域を一網打尽にするビジネスモデルは、頭から尻尾までの龍にたとえて「一条龍(一匹の龍)」と呼ばれ、市場ナンバーワンを目指す中国系同士の熾烈な競争の象徴ともなっている。=つづく
(姫田小夏/ジャーナリスト)
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