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難関大の入試で出題…「She is tasting the cake. 」は“文法的に正しい”か否か?【カリスマ講師・関正生氏が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月2日 8時30分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

英語の動詞のなかには、「進行形(be + -ing)にできないもの」が複数あります(例:like〈好む〉、have〈持つ〉、taste〈味がする〉等)。しかし、実は「進行形にできない動詞」は覚えなくても大丈夫。進行形にできるか否かを見分ける簡単な方法があるからです。関正生氏の著書『カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、紹介します。

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「It’s easy to say, “I love you,” to someone, but it’s more meaningful to thank someone for loving you.」

─ Jon Bon Jovi ─

「『愛してる』って口にするのは簡単なんだ。でも、自分を愛してくれたことを相手に感謝するほうがずっと大切なことなんだよ。」

─ジョン・ボン・ジョヴィ─

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「進行形にできない動詞」の秒速判別法

ボン・ジョヴィのコトバに “I love you” があります。loveは「愛“している”」なのに、「進行形にできない動詞」なんて説明されます。

わざわざ進行形にできない動詞を暗記しなくても、ルールをひとつだけおさえれば大丈夫です。

【5秒おきに中断・再開“できない”動詞は進行形に“できない”

このルールだけ、ぜひマスターしてください。例外なく使えます。

たとえば、run「走る」という動詞。5秒ごとに中断・再開できますか? 5秒ごとに走るのやめたり、また走り出したり…。

できますよね。だからrunは進行形にできます。be runningって形はOKです。

eat「食べる」もstudy「勉強する」も中断・再開できますね。だからbe eatingもbe studyingもOKです。

では次。resemble「似ている」はどうでしょう?

◆She【resembles】her mother.「彼女はお母さん似です」

5秒ごとに母親に似なくなって、また似てくる…。絶対ムリですよね。ですから(×)be resemblingにはなりません。「似“ている”」という日本語につられないように注意してください。

じゃあ、今度はhaveです。

◆I【have】two brothers.「兄弟は2人です」

中断・再開できますか? そんな残酷なことできませんよね。ですから(×)I【am having】two brothers. はダメなんです。「持っている」という意味のhaveは進行形にできないんです。

では「食べる・飲む」って意味のhaveはどうでしょうか? 中断・再開できますか?

◆He【is having】dinner.「彼は夕食の真っ最中です」

できますよね。「食べる」って意味のhaveは進行形にできるんです。これを「例外だ」なんて覚える必要はないんです。

ここで普通の参考書の説明を見てみましょう(流す程度でかまいません)。

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【進行形にできない動詞】(一般参考書の記述)

①状態や構成を表す動詞

resemble/belong to/consist of/contain/have

(例外:haveが所有以外の意味のときは進行形にできる)

②知覚・心理を表す動詞

believe/hate/know/like/love/think/want/smell/taste

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続けましょう。like「好き」は進行形にできますか?

◆I【like】dogs.「犬が好き」

みなさんもdogsのところに好きなものを入れてみてください。次に、その好きなものを5秒間中断して、そのあとまた好きに戻って…。

絶対できませんよね。絶対に。だから(×)be likingなんて言わないんです。

記事冒頭のボン・ジョヴィのコトバには “I【love】you.” があります。likeと同じように、loveも進行形にできませんね。

(*ちなみに “for loving you” のlovingは前置詞forの後ろにあるので「動名詞」です。進行形ではないですよ。)

「進行形にできない動詞」の“丸暗記”は間違いのもと

じゃあtaste「味がする」は?

いま、目の前にある苦~い果物を食べなきゃいけません。いくら苦いからって「5秒ごとに苦い味が中断してくれれば…」なんてムリですよね。ですから(×)be tastingにはなりません。

◆This fruit【tastes】bitter.「この果物は苦い味がする」

ではここで問題です。そっくりな問題が慶応大学の入学試験でも出ました。

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次の英文が文法的に正しければ〇、間違っていれば×をつけなさい。

She is tasting the cake.

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よ~く考えてください。tasteを「味がする」って訳したら、この英文は「彼女はケーキの味がする」?? これでは変ですよね。

では、このtasteはどういう意味ですか?

ワインの「テイスティング」って聞いたことありますよね。そうです、あのtasteなんです。「彼女はケーキの“味見をしている”」って意味なんです。「味見」って5秒ごとに中断・再開できる? できない?

もちろん「できる」ですよね。よって、be tastingはOK!! もし参考書で「tasteは知覚動詞だから進行形にできない」なんて暗記しちゃったら、かえって間違えちゃうという問題でした。

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<まとめ>

●5秒ごとに中断・再開できる→進行形にできる

●中断・再開できない→進行形にできない

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コラム:現在進行形が「未来」を表せる理由

現在進行形には未来のことを表す用法もあります。参考書には「近接確定未来は現在進行形で未来の内容を表せる」なんて説明があります。でも、ナニガナンダカ…。

◆I【’m going】to France next week.「来週フランスに行く予定です」

では説明いたしましょう。実は、予定が決まると「頭の中でリアルに進行しちゃう→思わず進行形を使っちゃう」、これだけなんです。

ですから参考書で「be+-ingを未来の代わりに使うと、準備が進んでいる印象を与える」なんて解説を読んでも納得できますよね。

もうフランス行きのチケット買って、デジカメ買って、ガイドブック読みながら頭の中ではパリの街中を散歩している「真っ最中」なのです。実際もうすでに旅行が一歩だけですが、進行してますね。これはフランスへ行きつつある(be going)とも言えるわけです。

このように個人的なスケジュールに be + -ing を使うんです。ちなみに、公的な予定(たとえば時刻表)などには、現在形を使うんでしたね(【⇒前回記事】参照)。現在形=現在・過去・未来形でしたよね。

関 正生

スタディサプリ講師

1975年東京生まれ。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。TOEIC L&Rテスト990点満点取得。リクルート運営のオンライン予備校「スタディサプリ」講師。スタディサプリでの有料受講者数は年間140万人以上。

著書は「世界一わかりやすい授業」シリーズ、「大学入試 関正生のプラチナルール」シリーズ(以上、KADOKAWA)など累計350万部突破。またNHKラジオ「基礎英語2」テキストでのコラム連載、英語雑誌『CNN ENGLISH EXPRESS』での記事執筆など多数。

オンライン英会話スクールhanaso(株式会社アンフープ)での教材監修、社会人向けの講演など、20年以上のキャリアで磨かれた「教えるプロ」として、英語を学習する全世代に強力な影響を与えている。

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