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日本の信用格付け機関、フィリピンの格付け「Aランク維持」の理由

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月11日 7時15分

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写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は日本の格付機関がフィリピンの堅調な経済成長を評価し、Aランク(BBB以上が投資適格水準)を維持したこと、この高評価の一因ともなっているインフラ整備事業などが株式市場でも注目されていることを解説します。

マルコス政権の財政健全化に一定の成果、今後にも期待

日本の信用格付け機関である日本格付研究所(JCR)は、フィリピンの信用格付けをシングルAマイナス+安定的な見通しで据え置きました。これは、フィリピン政府が財政健全性を維持していくことが期待されているためです。

JCRはフィリピンの高水準で持続的な経済成長、堅調な内需、低水準の対外債務、蓄積された外貨準備高による外部ショックへの耐性、そして堅固な財政基盤を評価する一方で、フィリピンは農村開発やインフラ整備を通じた所得格差の縮小が必要だと指摘しています。一方で、2022年6月に就任したマルコス政権が中期財政枠組みをもとに推進している財政健全化が奏功しているとし、今後も財政健全性を維持していくと期待しています。

JCRは、2024年の実質GDP成長率は、外部需要と観光需要の回復、物価上昇の抑制と海外フィリピン人からの送金による安定した個人消費に支えられて、6%程度になるとみています。これは、2023年の5.6%増をわずかに上回るものの、政府が目標としている6.5%から7.5%よりは低いものです。

また2023年の経済成長は、堅調な個人消費、改善した雇用市場、旺盛な送金、インフラ投資が牽引したとしています。今後、マルコス政権によるインフラ整備計画(BBM:Build Better More)プログラムが経済成長を後押しするとみています。このプログラムの下、政府は年間GDPの5~6%をインフラプロジェクトに投じることを目指すものです。

JCRは、2023年のインフラ投資対GDP比は5.8%に達したと推定。フィリピンのソブリンウェルスファンド・マハリカ投資会社(MIC)がインフラ投資を支援するだろうとしています。マルコス政権は、効果的かつ効率的な公共支出を通じて、2025年までに政府債務対GDP比率を60%未満、2028年までに財政赤字をGDPの3%以下に削減することをコミットしています。2023年末の政府債務対GDP比率約60%は、JCRがA-レンジで格付けしている国の中でも最低水準の一つであるとしています。

フィリピン中央銀行 (BSP) のレモラナ総裁は、別途の声明で、JCRによるフィリピンの投資適格信用格付けの維持を歓迎。「海外フィリピン人からの送金、ビジネスプロセスアウトソーシング収入、外国直接投資、観光収入からの持続的な外貨流入によって、フィリピンの外貨決済ポジションは引き続き良好に維持されるだろう。また、フィリピンは十分な外貨準備高を維持していると述べています。

好調に推移するフィリピンのインフラセクター

フィリピン中央銀行(BSP)は、2月に3回連続して、17年ぶりの高水準である6.5%の基準金利を維持しました。1月には、電子決済プラットフォームのGCashがIPO計画を発表し、市場環境の好転を待っています。

また、フィリピン証券取引所(PSE)、シティコア・リニューアブル・エナジー社が上場を第2四半期に延期するという決定をしたにもかかわらず、今年の上場企業数の目標である6社を達成することに楽観的です。特に修正PPP(Public Private Partnership:公共民間パートナーシップ)法が最終決定されれば、不動産、インフラ、銀行セクターには追い風となるでしょう。2023年に、マルコス大統領は、PPPの枠組みを合理化することを目的とした法案に署名しています。PPP法は、現在のビルド・オペレート・トランスファー法を修正し、国内および地方レベルのすべてのPPPに統一された法的枠組みを提供します。

また先月、インフラ企業・メトロ・パシフィック・インベストメンツ社は、サンミゲル社との合弁会社を今年中にIPOすることを計画していると発表しました。インフラと建設セクターは、PPPのスキームを通じた投資の増加が期待され、フィリピンの各産業、経済全体の成長を大きく後押しするでしょう。

マルコス政権のBBM(Build Better More)政策を通じたインフラ投資、都市化の促進、高い住宅需要などの要因が、このセクターの成長を促進していくと見られています。そして、AIなどデジタル変革が急激に進んでいるため、テクノロジーセクターのIPO期待が高まっています。デジタルサービスの普及の増加、技術インフラの進歩、テクノロジー製品の需要などの要因が、このセクターの成長と旺盛な資金需要を喚起しています。

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