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「アメリカ株が最強」は本当?…経済評論家・山崎元が“S&P500”よりも“オルカン”をすすめていたワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月12日 12時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

「貯蓄から投資へ」と国をあげて投資熱が高まるなか、投資先を迷っている人も多いでしょう。そこで目につくのが「S&P500に連動したインデックスファンドだけを持っていればいい」という“アメリカ株最強説”です。しかし、経済評論家・山崎元氏は、S&P500ではなく、全世界株式の「オルカン」をすすめていました。いったいなぜか、詳しくみていきましょう。※山崎元氏は2024年1月1日に逝去されました。衷心より哀悼の誠を申し上げます。

投資が怖いなら、まずは「1万円」から

【登場人物】

山崎先生(山崎 元)……経済評論家。東京大学経済学部を卒業後、三菱商事に入社し、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券など、合計13社で金融関係の仕事を経験。

金融業界の“裏の裏”まで熟知し、経済評論家となったあともテレビや雑誌、YouTubeなど多くのメディアで活躍。切れ味の鋭い発言を連発している。お金のことをなんでも知っていて説明もわかりやすいが、ちょっとクセが強い。

大橋(大橋 弘祐)……大手通信会社から、37歳で一念発起し作家・編集者に転職。お金の知識はなく、経済のニュースを聞いてもよくわからない“ド素人”。給料が上がらず税負担が増えるいま、将来に不安を抱え「お金を増やしたい!」と思っている。

大橋:インデックスファンドって、とてもいい商品な気がしてきました。でも、やっぱり怖くて投資できません。もう一度よく考えてみます……。

「投資信託には大きく2種類ある。プロ(人)がどの会社の株がいいか選んで詰め合わせをつくっているのがアクティブファンド。もうひとつは株価指数(インデックス)の中身に合わせて、機械的に詰め合わせをつくっているインデックスファンド。それで、わたしはアクティブファンドよりインデックスファンド。その中でも、世界中に分散投資できる「オルカン」と呼ばれている商品をオススメしている」(『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)より抜粋)なお、アクティブファンドよりインデックスファンドのほうが手数料が安い。

山崎先生:君は、心配しすぎだね……。

大橋:でも、まだよくわかってないですからね……。お金のことも経済のことも。

山崎先生:じゃあ、ちょっとだけ買ってみれば。私はこういうのは理屈に合わないから勧めないけど、君みたいな人は、ネット証券に口座を開いて、1万円だけオルカンに投資してみるといいかもしれないね。何が起こるか分かるよ。別に怖いことが起こるわけじゃないって。

大橋:1万円ですか……。

山崎先生:いつもは、最適な投資額を決めて、一気に買ってしまえって教えてるんだけど、君は特別気が弱そうだから、今回は方針を変える。

大橋:………。

山崎先生:投資って、やってみるまでは海のものとも山のものともわからないじゃない。だからなんとなく怖いイメージがある。でも、やってみれば、どんなふうに増えるかわかるし、案外面倒でないこともわかる。1回体験してみるといいよ。それでもし自分にはあわないと思えばやめればいいし。

大橋:うーん。1万円か……。

山崎先生:……あのね、オルカンなら1万円投資して、1万円全部なくなることなんてまずないし、仮に3,000円を失ったとしても、3,000円でお金のことを学べるなら安いものじゃない。

大橋:でも、減るんですよね……。

山崎先生:君は極端にリスクをいやがっているけど、実際には仕事でクビになるリスクも、会社が傾くリスクも、健康を損なうリスクも、すでにとっているんだよ。それなのに、お金の「運用」のところだけリスクに目を背けて、不利な「銀行預金」をしているわけだ。いろいろなリスクがある中で、お金のリスクにだけにこだわるのはバカげているんだよ。

大橋:バカって言った……。

オオハシ注

1万円の「とりあえず投資」は“自分への投資”

個人向け国債とオルカンを1万円ずつ買ってみたのですが、やってよかったです。というのも、お金のことって本を読んだり人に聞いたりするのと、実際に買って動かしてみるのでは、理解度が全然違うからです。ボールを蹴らないとサッカーが上達しないように、お金の運用も実際にやってみることによって「お金を運用するのってこういうことか」と実感できます。

また、「とりあえず投資」には、もうひとついいことがあります。それは、経済の情報にアンテナが張られることです。少額でも何かに投資することによって、株価や為替相場、経済系のニュースに目がいくようになり、お金の知識が少しずつ身についていきます。

1万円だけ投資するのは、自分への投資になるのではないでしょうか。

まとめ

・とりあえず1万円の投資をすることによって、お金の勉強ができる。

「S&P500」を勧める人の“3つの根拠”と、その根拠に対する反論

――後日

大橋:先生、ひどいじゃないですか……。

山崎先生:どうしたの?

大橋:家に帰って、先生が言ってることが正しいか、ネットで調べたんですよ。そしたら、アメリカの株が最強だから、オルカンじゃなくS&P500に連動したインデックスファンドだけを持っていればいいって言ってましたよ。先生、僕に嘘を教えました?

山崎先生:誰が言ってたの?

大橋:YouTubeのインフルエンサーです。

山崎先生:……。君は本当に私のことを信用しないね……。私のYouTubeも観てよ。

大橋:でも、結構言っている人は多いんですよ。どうしてオルカンのほうがいいか教えてください。

山崎先生:わかった。まず、S&P500に連動したインデックスファンドは、オルカンが世界全体に投資していたのに対し、アメリカの優良企業500社のみに絞った、株式の詰め合わせだね(図表1)。

大橋:アップルとかテスラとかアメリカの企業500社に絞ると、少数精鋭でかっこいいイメージがしますが……。

山崎先生:S&P500がいいという人の意見はこのあたりだね。

・ここ30年間くらい成績が世界全体の株価指数より良かった。

・ アメリカは日本やイギリスなどとは違って、先進国で唯一、人口が増え続けているから、これから経済が成長すると考えられている。

・アメリカの証券市場は利益を投資家に還元する環境が整っている。

大橋:はい……。たしかにアメリカといえば株式取引が活発なイメージがありますし、世界の経済を牛耳っているイメージがあります。

山崎先生:でもね、S&P500が良かったのは、過去30年くらいの「済んだ話」で、「これからの話」ではない

米国株が今後も上がり続けるかは不透明…平均点の「オルカン」が安全策

山崎先生:昔は人気だった日本の株が、いまでは世界の6%にも満たなかったりするし、アメリカの株が今後も同じように上がり続けるかはわからないよ(図表2)。

それに、30年って言うとすごいデータだと思うかもしれないけど、運用は20年、30年と続けるんだから、たった1回分くらいのデータに過ぎない。根拠にも証明にもならないね。

大橋:でも、あのアメリカですよ……。当分は問題ないんじゃないですか。

山崎先生:そもそもオルカン(世界株のインデックスファンド)には、今なら米国株が6割以上入っているから、実質的に、米国株にも投資できている。それに、世界の株式市場はますます連動性が高まっているから、そもそも両者の差は大きなものではないね。

大橋:たしかにアメリカの金融機関がつぶれただけで、日本で会社をやめさせられたりする人が出てくるわけですからね。それだけ世界の経済は密接なんですね。

山崎先生:とはいえ、アメリカだけに集中させてしまうと、アメリカという国の経済政策や税率、規制が変わると、アメリカ株だけが大きな影響を受けるリスクはある

お金を増やすには、平均的な成績を出せるように投資するのが原則。それなのに、アメリカだけに集中させるのは、一種のアクティブファンド(偏りを持たせた運用)になる。

オルカンという1つの商品を買えば「全世界の株式を平均的に買うこと」ができるのだから、オルカンがいいと私は思うよ。

山崎 元 経済評論家

大橋 弘祐 作家/編集者

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