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【アルファード/ヴェルファイア試乗】人気ミニバンが大進化。細部の作り込みにトヨタの執念を見た!

&GP / 2018年3月10日 19時1分

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【アルファード/ヴェルファイア試乗】人気ミニバンが大進化。細部の作り込みにトヨタの執念を見た!

これはまさに、トヨタの執念だーー。

マイナーチェンジで後期型へとバージョンアップした「アルファード」と「ヴェルファイア」の変更内容を見て、そんな印象を受けた。

今回のマイナーチェンジおける進化で目立つのは、エクステリアのリフレッシュ。そして、トヨタが新たに開発し、今回のアルファード/ヴェルファイアが採用第1号となる次世代安全運転支援システム“第2世代トヨタセーフティセンス”の搭載だ。

■旗艦セダンよりもいち早く先進の安全装備を搭載

アルファードとヴェルファイアそれぞれに、標準タイプとエアロタイプ、計4タイプをラインナップするが、今回のマイナーチェンジでは、そのすべての外観デザインに手が入った。

アルファードはフロントグリルがより大きくなり、ヴェルファイアはメッキ加飾の範囲を大幅に拡大。いずれも、押し出しがより強くなり、きらびやかな顔つきになった。また、従来は標準タイプのルックスしか選べなかった最上級仕様「エグゼクティブラウンジ」が、後期型ではエアロ外装のモデルでも選べるようになったのは朗報だろう。

ライト類は、すべてのグレードでLED化され、上級仕様はヘッドライトのロー/ハイを切り替える“オートマチックハイビーム”に加え、先行車や対向車がまぶしい部分だけを減光し、それ以外のゾーンはハイビームで明るく照らす“アダプティブハイビーム”を搭載。ウインカーの光が外側に向かって流れるように点滅する“シーケンシャルターンランプ”も導入し、機能も見た目もしっかりバージョンアップしている。

そんな後期型モデルにおける最大のトピックは、なんといっても第2世代トヨタセーフティセンスの搭載だろう。進化の度合いは実に大きく、中でも、自転車の飛び出しや夜間の歩行者まで認識する能力を身に着けた自動ブレーキ性能は、世界トップの水準にある。そして、全速度域に対応し、渋滞時は停止状態を保持する“アダプティブクルーズコントロール(前を走るクルマに合わせて速度を自動調整するシステム)”に加え、高速道路で車線の中央を走るようステアリング制御を支援する“LTA(レーン・トレーシング・アシスト)”も新採用。LTAは、日産自動車の“プロパイロット”やスバルの“アイサイト・ツーリングアシスト”と同様の機能で、高速道路の同一レーンであれば、ドライバーはハンドルに手を添え、システムが対応できない状況でのみ進路を補正してやればいい。速度のコントロールやハンドル操作に集中しなくてもいいなど、自動運転に近い感覚を味わえる。

LTAは自動運転ではなく、あくまで“ADAS(先進運転支援システム)”に過ぎないが、ついにトヨタも“半自動運転”の領域に足を踏み入れた意義は大きい。そしてその第1弾が、今夏のフルモデルチェンジがウワサされるフラッグシップセダンの「クラウン」ではなく、ミニバンのアルファード/ヴェルファイアだったことの衝撃は小さくない。アルファード/ヴェルファイアは、今やクラウンと並ぶ、トヨタのフラッグシップカーのポジションに位置するモデルへと成長したことを実感させる。

さらに後期型では、V6エンジンの設計が全面的に変更されたのもトピックだ。新エンジンは“2GR-FKS”と呼ばれる新世代型で、待望のアイドリングストップ機能も追加された。また、従来は6速だったATの8速化と相まって、加速フィーリングと燃費性能が向上。中でも、燃費の向上幅は最大約14%と、驚くべき水準にある。

しかし、そうした目立つ変更も、今回のアルファード/ヴェルファイアのマイナーチェンジにおいては氷山の一角でしかない。むしろ、水面下(!?)の見えない部分にこそ、トヨタ自動車社長・豊田章男氏が日々口にしている「もっといいクルマを作ろう」という合い言葉に対する、開発陣の意気込みを感じることができるのだから。

例えばボディ。構造用接着剤の使用範囲を拡大し、鉄板と鉄板の結合をより強固にしているほか、フロントウインドウや前後クォーターガラスといった“開かない窓”のすべてを高剛性接着剤で貼り付けるなど、ボディ剛性を高めている。そして、強固になったボディ剛性に合わせ、足回りをよりしなやかに再セッティング。特別なバルブを採用したショックアブソーバーを組み合わせることで、路面の衝撃を拾った時のゴツゴツ感を軽減させている。

開発陣によると、今回のマイナーチェンジにおける大きなテーマは、快適性の底上げだったという。ボディ剛性の向上は、もちろんドライバビリティの向上にも貢献するが、開発陣がそれ以上に狙ったのは、乗り心地をさらに良くすることだったのだ。

ミニバンの場合、シートを床に直接固定するのではなく、スライドレールを介して取り付けるため、路面からの衝撃がスライドレールとシート台座の接点に集中し、フロアの振動がシートへとダイレクトに伝わりやすい。そのため、走行中は路面からの微振動が伝わりやすく、停止時はエンジンの振動(6気筒エンジンは4気筒に比べるとかなりマイルドで気になりにくいが)を拾いやすいというウィークポイントがある。

そこで、アルファード/ヴェルファイアの後期型では、エグゼクティブパワーシート車とエグゼクティブラウンジにおいて、2列目シートに付くスライドレールの板厚をアップさせている。これは、2列目シートの快適性をよりアップさせるための対策なのだが、マイナーチェンジでシートレールの板厚をアップするなんていうのは、常識外もいいところ。そんな例はこれまで聞いたことがない。そこまでこだわったのか! と驚くばかりである。

快適性向上のための改良は、それだけにとどまらない。静粛性をアップするために遮音材を追加したほか、フロントシートには、これまで非採用だったシート表面の空気を循環させるベンチレーション機能を新搭載。また、エグゼクティブラウンジでは、シートに付くアームレストの剛性も高めている。つまり、一部グレードでは、シート内部の設計まで変更してきたのだ。さらに、風切り音を減らすために、ドアミラーの形状(見ても違いが分からないレベルだが)までもリファインされている。

開発の手を緩めないーー。

言葉にするのは簡単だが、開発コストやマンパワーには制約があるため、これほど細かい部分にまで変更の手が入るマイナーチェンジは珍しい。アルファード/ヴェルファイアは人気モデルであり、ここまで手を入れなくても、例えば、見た目や安全装備のアップデートだけでも販売実績の向上は約束されていたはず。でもトヨタは、執念ともいうべき快適性への徹底したこだわりで、細部に至るまで大幅な改良を盛り込んできた。

その結果、ライバルよりも商品性がアップし、販売面でさらなるリードを築けるという好循環を期待できる。いうなれば“勝利の方程式”を見せつけられた気がする。

<SPECIFICATIONS>
☆アルファード ハイブリッド エグゼクティブラウンジ S
ボディサイズ:L4950×W1850×H1950mm
車重:2240kg
駆動方式:4WD
エンジン:2493cc 直列4気筒 DOHC+モーター
トランスミッション:電気式無段変速機
エンジン最高出力:152馬力/5700回転
エンジン最大トルク:21.0kg-m/4400〜4800回転
モーター最高出力:フロント143馬力/リア68馬力
モーター最大トルク:フロント27.5kg-m/リア14.2kg-m
価格:750万8160円

<SPECIFICATIONS>
☆ヴェルファイア ZG
ボディサイズ:L4935×W1850×H1935mm
車重:2090kg
駆動方式:FF
エンジン:3456cc V型6気筒 DOHC
ミッション:8速AT
最高出力:301馬力/6600回転
最大トルク:36.8kg-m/4600~4700回転
価格:494万7480円

(文&写真/工藤貴宏)

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