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暮らしを健やかにする知識とヒント[ SDGs×ファッション編 ]

Hanako.tokyo / 2024年3月24日 12時0分

暮らしを健やかにする知識とヒント[ SDGs×ファッション編 ]

働く女性に役立つ情報を月替わりで紹介。今月のテーマは、SDGs×ファッション。毎日着るものだからこそ、選び方、手放し方をしっかりと見つめ直したい。

三和沙友里 (energy closet 代表)

みわ・さゆり/大学卒業後、2019年に〈energy closet〉を立ち上げる。実店舗は持たず全国各地でポップアップストア〈CLOSETtoCLOSET〉などを展開。

INTERVIEWファッションを巡る循環の仕組みを気持ちよく始めるために考えたいこと。



環境負荷が極めて高いとされるファッション業界。服を愛するからこそ考えたいのは、環境と自分にやさしいクローゼットづくりだ。一風変わったアパレルブランドの代表に話を伺った。

服の循環をテーマに三和沙友里さんが立ち上げた〝服を売らない〟アパレルブランド〈energyclo
set〉。注目を集めたのは不定期で開催されるポップアップショップ〈CLOSETtoCLOSET〉の活動だ。自身のクローゼットにある服を3着持って行くと店に並ぶ古着から好きな3着を持って帰ることができる。服の物々交換をすることで、新しいものを手に入れることと不要になったものを手放すことというエシカルなファッションの循環を、気軽かつポジティブに体感することができる。
「もともとサーキュラーエコノミーなど物の循環の仕組みに興味があり、大学で地産地消や廃棄されたものの行方、食品ロスなどについて学んでいました。また、当時からファッションも好きだったので、アパレルの分野ではどんな循環が必要かと考えるようになりました。ただ学べば学ぶほど、服を作り出す仕組みや流れは見えても、企業による大量廃棄の問題や消費者が服を手放す際の選択肢が少なく限定的だということに違和感を覚えて。季節ごとに新作を買ったとしても、買ったあとのことについては消費者も作り手側もなかなか有機的な解決策を持っていないのではないか、という現実を感じました。私の立ち上げたブランドでは、その違和感をできるだけないものにしていきたい。服を手放して循環させることを当たり前にしていきたいと考えています」



クローゼットはパンパン。でも着たい服がない…!?

 左ページにある「サステナブルに服を選ぶための18のヒント」は消費者庁が提案するファッション習慣のすすめだ。環境に大きな負荷を与えるファッションの大量消費・大量廃棄の問題は、いち消費者の行動で一気に変えられるものではないかもしれない。それでも、ひとりひとりの消費行動に変化が生まれれば、社会も少しずつそれに対応していくはず。今回は、このヒントを沙友里さんと共に読み解いてみよう。

「クローゼットはパンパンなのに今日着たい服が見つからない…と思うことって、誰しも一度はあるんじゃないかと思います。まず、最初にすべきことは、最後に書かれている[自分のクローゼットやワードローブを見直す]こと。似ているものばかり選んでいる、流行を追うあまり雑に服を選んでいる…。その結果、いらない服でクローゼットがいっぱいになっていないかをまずチェックしてみてほしい。その上で、自分の日々を豊かにする服選びとはどんなものか考えていくといいと思います」

クローゼットを見直して取捨選択することで、今、どんな服を本当に着たいのか知ることも、眠ったままの服をポジティブに手放すこともできそうだ。

「自分のクローゼットの中身が把握できていれば、[本当にその服が必要かどうか、もう一度よく考えてみる]もとてもスムーズにできると思います。新しく買うときには、[長く着ることができるか]、[処分するときのことを考える]なども加味しながら、買うべきかどうかをよく検討すること。またを実現するためには[ストーリーにこだわる]や[カスタムで購入する]などを選択のポイントにしてもいいと思います。どんな産地のもので、どんな職人の方が手がけたものなのか。ものづくりの背景や姿勢、原材料は何を使っているか、どんなこだわりがあるかなどを知ることで一着一着に愛着が生まれ、大切にしたいという情緒的な耐久性が高まります。結果、の[大事に使い長持ちさせる]を実現できると思います。[お直しやリペアで長く着られるようにする]、[リメイクを楽しむ]というのも、長く愛着を保つために有効です。まず小さなお直しから始めるといいと思います。シミができたり、小さな穴ができたりして着られなくなったジャケットやシャツにワッペンを貼ってみるだけでも、クローゼットから〝不用なもの〟がひとつ減りますから」



眠ったままの古着をそのままにしないために。

沙友里さんは「ファッションを巡る地球の環境問題は、実はひとりひとりの小さなクローゼットと密接に繋がっている」と言う。

「先にも言った通り、クローゼットに詰まった着なくなった服。それを循環できる形で手放すことが意外と難しいんです。フリマアプリに出すのも面倒に思ってしまう、リサイクルボックスに持っていくのも億劫…という人もいると思います。みんなが着たいと思える古着は実はたくさんあるんです。でも、その多くは消費者それぞれのクローゼットに眠ったまま…。18のヒントでも[バザーやフリマを活用する]、[古着の回収サービスを利用する]、[寄付する]、[資源回収に出す]など手放すための手段が提案されています。いずれも自分で試したいと思ったものを実践することから始めればOK。ただその際、あまり社会貢献のためと固執しすぎなくていいのでは、と思います。まずは自分のために己のクローゼットをよりよくする。動機はそれで十分。自分が好きで選んだことが、結果サステナブルな循環に繋がっていた、リサイクルやリユースと結びついていた、となれればいい。まずは多くの人が気持ちよく服を巡る循環に参加できることが大切。フリマに参加している人が、古着を選んでいることや、リメイクしている人が素敵だな、かっこいいなと思える社会になれば、その流れや仕組みは広まっていくはずです」

energy closet (エナジークローゼット)

〈CLOSETtoCLOSET〉は現在、毎月第1日曜日に渋谷区で開催(事前予約チケット制)。集まった古着の中で着られないものをアップサイクルする〈upHAND〉、フリーマーケットイベント〈たなぼた市〉も展開。詳細はInstagram(@__eneclo)へ。

CHECK LIST

サステナブルに服を選ぶための18のヒント。

1.本当にその服が必要かどうか、もう一度よく考えてみる

2.長く着ることができるものを買う

3.処分するときのことも考えてみる

4.買うと決めたら服のストーリーにこだわる

5.カスタムメイドでの購入を考えてみる

6.バザーやフリーマーケットなどで古着を買う

7.レンタルサービスを利用する

8.メーカー売れ残り在庫販売での購入も考えてみる

9.大事に使い長持ちさせる

10.マイクロ・プラスチックを流出させない

11.お直しやリペアで長く着られるようにする

12.家族や友人同士で着まわす

13.買取店、バザー・フリーマーケットを活用する

14.お店などでの古着の回収サービスを利用する

15.寄付する

16.リメイクを楽しむ

17.どうしても使い道がない場合には資源回収に出す

18.自宅のクローゼットやワードローブを確認して、不用な服は定期的に処分・有効活用する 

出典:消費者庁「サステナブルファッション習慣 18のヒント」より
https://www.ethical.caa.go.jp/sustainable/

SHOPお直しやリメイクをもっと身近に。

循環型ファッションを自由に楽しむコミュニティ「NewMake」。彼らが立ち上げた原宿のラボが面白いことになっています!

自由に使える端材ボックス。ラボは多くのプロジェクトを展開し、ブランドやメーカーと作り手を結びつける。

高感度な場所にアップサイクルの拠点を、と原宿に2021年にオープンした〈NewMake Labo〉。店内には、ミシンやプリンター、刺繍機、裁縫道具などがずらり。これらは会員登録をし、施設に用意された素材を利用してアップサイクル制作をする場合は無償で使えるというから驚く。提供される素材は、近隣のブランドなどからの残布等。それを自由に使い、自分の好きなものを作ることができる。
「現在、会員は1200名ほど。ラボに集まって共同作業することも可能ですし、仕事帰りに寄って利用される個人の方もいます」とプレスの瀧本かれんさん。
「初心者向けレッスンやイベントも随時開催しているので、まずは参加してみてほしいです」

NewMake Labo 原宿/明治神宮前

会員登録が必須。利用料は1時間ずつ利用できるドロップイン(1時間1,000円)のほか、月極の定額制も。

住所:東京都渋谷区神宮前6-6-2 原宿べルピア104 
営業時間:14:00~21:00(土13:00~19:00) 
定休日:日月
Instagram:@newmakelabo

DATAファッションと環境負荷にまつわるデータ。

服1着を生み出すためにどれだけのCO2が排出されるのか。1年に1回も着られない服が、タンスの中に何着あるのか。数字で知ることでリアルに実感することがあるはず。

出典:環境省HP「ファッションと環境の現状」より
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/



服1着あたりの、原材料調達から製造までの環境負荷

CO2排出量:約25.5kg(500㎖のペットボトル約255本製造分)/水消費量:約2,300ℓ(浴槽約11杯分)



ひとりあたりの衣服消費・利用状況 (年間平均)

KEYWORDS最新の動向がわかるハッシュタグ。

どんな服を選んで着るかだけでなく、自分はどんな意思を持っているのか、身につけるもので表明することだってできる。

KEYWORD



【#craftivism】

「#craftivism」とは、刺繍やキルトなど手芸を通じて社会的メッセージを送ろうという世界的なムーブメント。暮らしと密接に結びつく手仕事に平和への願いを込める。



【#rebelforthefuture】

環境保護や社会へのメッセージをパッチにして身につけるアクション「REBELFORTHEFUTURE」。パッチはB級品や廃棄されるはずだった残布を使用している。

GOODS選ぶなら、必要な理由があるものを。

長く愛せるもの、リペアに使えるもの、気になるストーリーがあるもの。今、欲しいのはそんなそれぞれの“理由”を持つアイテム。背景を知って、じっくり吟味しながら選んでみよう。

長く大切に履き続けることができる職人技が随所に。2021年に誕生した〈Je t'emmène〉は浅草のシューズメーカーが手がける柔らかな履き心地が自慢の革靴ブランド。天然皮革は食肉の加工工程で出る副産物。大事に履き続けたい。スリッポン、JAZZフラットシューズ各25,300円(デコルテ 03-3871-0189)



長く大切に履き続けることができる職人技が随所に。
2021年に誕生した〈Je t'emmène〉は浅草のシューズメーカーが手がける柔らかな履き心地が自慢の革靴ブランド。天然皮革は食肉の加工工程で出る副産物。大事に履き続けたい。スリッポン、JAZZフラットシューズ各25,300円(デコルテ 03-3871-0189)

かわいくリメイクできるワッペンも背景のあるものを。洋服として役目を終えた生地を台紙にしたワッペン。刺繍にもこだわり、糸の一部はリサイクルポリエステル繊維を使用した刺繍糸を使用。穴が開いた靴下やズボンにぺたりとしたい。小・各500円、大・各1,500円(energy closet https://energy-closet.com/)



かわいくリメイクできるワッペンも背景のあるものを。
洋服として役目を終えた生地を台紙にしたワッペン。刺繍にもこだわり、糸の一部はリサイクルポリエステル繊維を使用した刺繍糸を使用。穴が開いた靴下やズボンにぺたりとしたい。小・各500円、大・各1,500円(energy closet https://energy-closet.com/)

目薬の廃プラスチックをアップサイクルしたアイウェア。アイウェアブランドの〈eyeforthree〉は、フレームに目薬の廃ボトルを再利用し、パッケージもエコにこだわる。売上げの10%はインドの白内障手術の支援へ。サングラスとPC眼鏡 各15,000円(eyeforhtree https://eyeforthree.com/)



目薬の廃プラスチックをアップサイクルしたアイウェア。
アイウェアブランドの〈eyeforthree〉は、フレームに目薬の廃ボトルを再利用し、パッケージもエコにこだわる。売上げの10%はインドの白内障手術の支援へ。サングラスとPC眼鏡 各15,000円(eyeforhtree https://eyeforthree.com/)

古着をリメイクした一点ものの魅力に触れる。広告や舞台衣装などを手がけるデザイナーtomoki yuritaが古着を解体し、パッチワークするようにポップに仕上げた独創的なスタイルが人気。スヌードは端材を組み合わせ、巻き方次第でさまざまな表情に。各16,500円(tomoki yurita https://tomokiyurita.base.shop/)



古着をリメイクした一点ものの魅力に触れる。
広告や舞台衣装などを手がけるデザイナーtomoki yuritaが古着を解体し、パッチワークするようにポップに仕上げた独創的なスタイルが人気。スヌードは端材を組み合わせ、巻き方次第でさまざまな表情に。各16,500円(tomoki yurita https://tomokiyurita.base.shop/)

着られなくなったものを違う形でアップデートする。オーナーのeriさんが〈古着屋DEPT〉のDNAを受け継いで取り組む、アップサイクルを施したオリジナルアイテムシリーズ。ビッグサイズシュシュはヴィンテージのシフォンスカーフから仕立て、サイズや表情も異なる一点もの。各4,400円(DEPT 03-6450-8422)



着られなくなったものを違う形でアップデートする。
オーナーのeriさんが〈古着屋DEPT〉のDNAを受け継いで取り組む、アップサイクルを施したオリジナルアイテムシリーズ。ビッグサイズシュシュはヴィンテージのシフォンスカーフから仕立て、サイズや表情も異なる一点もの。各4,400円(DEPT 03-6450-8422)

長年培われた技術を活かした穿きやすい足袋形ソックス。1949年の創業以来、70年にわたり靴下を中心にニット関連商品を手がけてきた〈タイコー〉。足袋形ソックス「AMITABI」は、定番人気の一品。リサイクルウールをメイン素材に使用し、穿くほどに足になじむ。各1,650円(タイコー 026-296-5211)



長年培われた技術を活かした穿きやすい足袋形ソックス。
1949年の創業以来、70年にわたり靴下を中心にニット関連商品を手がけてきた〈タイコー〉。足袋形ソックス「AMITABI」は、定番人気の一品。リサイクルウールをメイン素材に使用し、穿くほどに足になじむ。各1,650円(タイコー 026-296-5211)

photo_MEGUMI illustration_masco eri text_Kana Umehara

No. 1227



No.1227 『47都道府県、おいしいあの町へ』 2023年11月28日 発売号

47都道府県、あらゆる県のあらゆる町に、まだまだ私たちが知らない、おいしいものが待っています。 1県たりとも食べ逃したくない! そんな食いしん坊心で、「47都道府県・全県グルメガイド」ができました。ガイド役は、各県に暮らす食通、総勢47名。それぞれの県から1箇所ずつ、今行くべきグルメエリアをピックアップし、在住者の目線で「おいしい地元案内」を披露してもらいました。郷土料理、食堂、スイーツ、ご当地土産、B級グルメから、グルメと併せてチェックしたいアートスポットやパワースポットまで、旅の目的地はなんと合計282スポット …



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