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編み物はいくつになってもできる、最高な趣味だ。|前田エマの、日々のモノ選び。#5

Hanako.tokyo / 2024年3月15日 18時30分

編み物はいくつになってもできる、最高な趣味だ。|前田エマの、日々のモノ選び。#5

30代という年齢は、“モノを選ぶ眼”が育ち養われてくる年齢ではないだろうか?流行りものやブランドものではなく、自分が心地いいモノを選びたい。生産の背景を知り好きになるモノだったり、多少値が張っても人生をかけて大切にしたいと思えるモノだったり…。そういった視点でモノを選ぶ前田エマさんが、ご自身の私物とともに「モノの選び方」について綴る連載です。第5回目は、エマさんの“編み物”について。今回はご自身で編んだアイテムとともにお届けします。

何年かに一度、

編み物熱が再燃する。
友達が編んでいるのを見てやりたくなったり、本に載っていたものを作りたくなったり、ファッション誌で見たアイテムに似たものを自分で作れそうだと思ったり…。

昨年後半、

留学先の韓国で編み物熱が再燃した。

家から歩いて30分ほどのところにある街が好きでよく散歩をしていたのだが、そこに毛糸屋があった。
静かな高級住宅街の中に、流行りのカフェやインテリアショップ、独立系書店、若者に人気の日本風居酒屋などがあり、お洒落な人々が多くやってくる。そんな街に毛糸屋だなんて商売繁盛するのだろうか?というこちらの心配はよそに、いつも若者で賑わっていた。

毛糸屋の2階はカフェになっていて、そこでは若者たちが思い思いに編み物をして時間を過ごしていた。


お腹がちらっと見えるTシャツを着ているガールたちが、おしゃべりしながら手を動かしている。

タトゥーがたくさんのバンドギャル風の子が、静かに一人で黙々と編み続けている。

西洋人だと思われる男の子が、友人と向かい合いながらかぎ針あみをしている。私もこの幸せ空間に混ざりたい!!と強く思った。

韓国に留学中に仲良くなった日本人の女の子(ソウルの美大に通っている)は編み物が得意なので、教えてもらうことになった。この店で毛糸を買ってから、上のカフェで一緒に編み物をした。ここで毛糸を買うと、網み図と共に、YouTubeにアップしている解説動画のURLも教えてくれるので、とてもありがたかった。



「日本の毛糸屋で見かける子ってほっこり系の人が多かったけど、こっちは全然違うね」と私が言うと「オンニ(お姉さん)、

それは日本だけかも。私がよく見る外国の編み物系YouTuberたちは、みんな派手ですよ」と、いろいろ見せてくれた。
「そうだ!オンニ、今度一緒に東大門に行きましょう。毛糸が安く買えますよ」

ソウルの観光地・東大門は、問屋街として知られている。服、布、アクセサリー、靴、日用品から電化製品まで、ないものはないような気がする。
私が連れて行ってもらったのは駅と繋がっているビルで、たくさんの毛糸屋がズラーっと並んでいた。

一つ一つの店はとても小さい。しかしそこかしこの店の中で、

ハルモニ(おばあちゃん)たちが車座になって編み物をしている。お菓子を食べながら、お茶を飲みながら、時にはカップラーメンを啜りながら…。その光景の豊かさに、

私は目頭が熱くなるのを感じた。


“自分の手で何かを作り出す”という一人一人のかけがえのない時間。その時間をみんなで共有する喜び。

エマさんが編んだもの

私が初めて編み物をしたのは、小学校低学年の頃だった。
保育園の頃から、簡単な指編みや、牛乳パックと割り箸で作った簡易的な編み機で編み物をしていたが、編み針を使ったのはそのときが最初だ。

本屋で見た“あみぐるみ”の本。そこに載っていたクマのぬいぐるみを作りたかった。
母に相談すると、母の学生時代からの親友・Sちゃんの家へ連れて行ってくれ、そこでSちゃんが手取り足取り教えてくれたのだが、当時の私に編み物は難しく、ほとんどSちゃんが作ってくれた。Sちゃんは編み物のプロで、本も出しているし、テレビにも出ている。それからたまに、Sちゃんに教えてもらうようになった。

この間のお正月、

久しぶりにSちゃんの家に行って編み物を教えてもらった。Sちゃんのお母さんは足が悪く、もう一人で歩くことはできないが、私たちがぺちゃくちゃおしゃべりをする横で、ずっと編み物をされていた。Sちゃんの家には、お母さんが作ったものがたくさん飾ってあった。

編み物はいくつになってもできる、最高な趣味だ。私も細々とでも続けて、楽しい老後を迎えたい(ちなみに、鍵編みしかできません!)。

ボンネット

ボンネットが欲しくていろいろ探していたのだが、かわいいデザインのものは赤ちゃん用ばかり…。なら自分で作ってしまおうと思い、色違いでいくつか制作。折り畳んで鞄の中に入れておけるので、寒い冬に重宝している。耳まですっぽり。

花模様のバック

ソウルの例の毛糸屋に飾ってあったサンプル品を見て一目惚れ。900円くらいで作れたのだが、想像以上に時間がかかった…。花の形のモチーフの立体感が好き。

レースのつけ襟

レース用の糸を使って編むのは、これが初めて。Tシャツに合わせてカジュアルに着ても可愛い。シンプルなタートルネックやワンピースに合わせると、一気にゴージャスな感じになる。前と後ろを逆にしても使える。

前田エマ

1992年神奈川県生まれ。東京造形大学を卒業。オーストリア ウィーン芸術アカデミーの留学経験を持ち、在学中から、モデル、エッセイ、写真、ペインティング、ラジオパーソナリティなど幅広く活動。アート、映画、本にまつわるエッセイを雑誌やWEBで寄稿している。2022年、初の小説集『動物になる日』(ミシマ社)を上梓。
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