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『アラジン』“他とは違うプリンセス”ジャスミン、アニメ版と実写版で実は大きな変化があった!<実写版今夜放送>

クランクイン! / 2024年3月1日 6時30分

映画『アラジン』場面写真

 今夜、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて実写版『アラジン』が放送される。『アラジン』に登場するヒロイン・ジャスミンといえば、1992年に公開されたアニメ版でもそれまでの“プリンセス像”とは一線を画すキャラクターで、現在でもファンが多い。そして、世界中の大きな期待を背負い、2019年にナオミ・スコットが演じた実写ジャスミン。アニメ版と見比べてみると、そのキャラクターには実はいくつかの違いがあるように感じる。今回は、実写版ジャスミンがアニメ版からいかに変化しているのかを探ってみたい。

 1992年に公開されたディズニー・アニメーション映画『アラジン』は、主題歌の「ホール・ニュー・ワールド」がアカデミー歌曲賞を受賞するなど大きな話題となり、大ヒットを記録。その『アラジン』が2019年に、27年の時を経て完全実写化された。貧しい若者・アラジンと、プリンセス・ジャスミンの恋や、ランプの魔人・ジーニーの魔法におなじみのナンバー、そして異国情緒あふれる街や衣装など、誰しも心躍る一作に仕上がっている。

■「自由になりたい」アニメ版、「王になりたい」実写版

 アニメ版ジャスミンは、それまでディズニーが描いてきたプリンセスとはかなり違っていた。まず見た目の部分では、初めての有色人種であり、服装はパンツルックだ。そして恋愛に対するマインドとしては、「王子さまに選んでもらいたい」ではなく、「結婚相手は自分で選びたい」というスタンス。自分との結婚(=アグラバーの王座)を求めて、毎日のようにやってくる異国の王子たちにうんざりする日々をすごしている。宮殿から出ることもできず「自由がない」ことが悩みの種だ。

 一方、アニメ版の27年後に描かれた実写版ジャスミンは、そもそも「自分の結婚相手=未来のアグラバーの王」という構図に納得がいっていない。アニメ版でも、ジャスミンという女性は非常に賢く気高いキャラクターとして描かれる。それをしっかりと引き継いだ実写版ジャスミンは、恋愛や結婚はさておいて、「自分が国王になりたい」という思いを持っている。

 これには、両作の公開当時の背景もあるだろう。27年前といえば、女性の地位向上が図られる動きはあったものの現実はまだまだ男性社会。ジャスミンは「愛のない結婚」こそ拒否しているが「自分が結婚した相手が王になる」ということに対しては受け入れているようだった。それよりも、「女性が自由に生きる」ことへの難しさと解放への思いを強く持っていたように感じる。かくして、2019年の世界では(まだまだ実現できていない地域も少なくないが)男女の平等やジェンダーレスが叫ばれるように。そんな時代に改めて描かれたジャスミンは、“男性社会”への異を唱えるキャラクターに変化していた。

■実写版ジャスミンに与えられた“ソロ曲”響く2つのシーン

 『アラジン』には「フレンド・ライク・ミー」「ホール・ニュー・ワールド」など誰もが1度は耳にしたことのある名曲がそろう。しかし、物語の根幹ともいえるキャラクター、ジャスミンの心の内を歌う曲はもともと入っていなかった。実写版では、ジャスミンのソロナンバー「スピーチレス~心の声」が加わり、ナオミ・スコット、そして吹替版では木下晴香の歌声を堪能できる。これはつまり、アニメ版公開時以上に『アラジン』におけるジャスミンのキャラクターが濃くなり、より重要な位置となったことを表しているといえるだろう。

 「スピーチレス」は、本作の中で2度歌われる。1度目は、ジャスミンが「自分こそ国王に相応しい」と現国王である父、そして大臣であり本作のヴィラン・ジャファーに訴えるシーンだ。父には「女性が国王になることはできない」「お前にもいつか分かる」と諭され、ジャファーには「女に必要なのは美しさだけ。それを受け入れれば楽に生きられますよ」と一蹴される。いくら訴えても、男性たちの耳には届かない現実に心が折れそうになりながらも「私はもう黙っていられない、心の声上げて」と歌うジャスミンだったが、その声は弱々しかった。

 2度目は、ジャファーがジーニーの力を使い国王の地位を奪った時。ジャスミンは捕らえられながらも、心の声を叫びたい気持ちを歌い上げる。「閉じ込められても諦めない、折れた翼空へ」という歌詞も加わり、より力強い声がその意志の強さをうかがわせた。「ジャファーに屈しない」という気持ちはもちろんだが、父や、王座を求めて求婚してきた王子たちといった、彼女を“プリンセス”としてしか見てこなかった社会そのものへの抗議でもあるのではないだろうか。

■2人のジャスミンが世界に与えたものは

 アニメ版、実写版ともに、ジャスミンという女性はディズニープリンセスという存在を大きく変えた。女性にとっての人生の目標を、「運命の相手を見つける」ではなく、「自己実現や自由を手に入れる」として良いということを教えてくれたアニメ版ジャスミン。そして、いつまでも男性優位の伝統や社会に対しその力強い歌声で一石を投じた実写版ジャスミン。2人のジャスミンには違いはあれど、間違いなく世の女性たちの背中を押し続けている。そしてこの先生まれるディズニーキャラクターや、現実世界を生きる女性たちの中に、きっとジャスミンは生き続けるだろう。(文:小島萌寧)

 実写版『アラジン』は、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて3月1日21時放送。

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