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チーム意識 2 「信頼関係が弱いほど報連相は増える」/斉藤 秀樹

INSIGHT NOW! / 2015年9月8日 10時14分

写真

斉藤 秀樹 / 株式会社アクションラーニングソリューションズ 一般社団法人日本チームビルディング協会

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◆信頼関係が弱いほど報連相は増える
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「あなたの業務は何ですか」
「主には報告書の作成です」

「それは顧客に対するものですか」
「いえ、上司である部長に対するものです」

「上司への報告書作成は業務全体の何割程度を占めるのですか」
「7割程度、です」

「その中に、直接話したほうが良いものは無いのですか」
「あるのですが、部長は時間がないと言って時間を取ってくれません」


このやり取りは実際のものです。
このやり取りから皆さんは何を感じるでしょうか。

一見、信頼関係と業務の生産性は関連しないように思われます。
しかし、実態は上司と部下の信頼関係の状態によって報連相は極端に増減します。


特に上司が部下を信頼していない場合は増える傾向にあります。
また、逆に上司が部下を信頼できないため、自分で実務を抱え込みプレーヤーとなって
しまい、リーダー不在の状態を創ってしまう場合もあります。


他の例で見てみましょう。

「上司の皆さんとのコミュニケーションはどのように行われていますか」
「うちは組織がフラットですから何か確認事があるときは部長や課長から聞き来ます」

「定例のミーティングや報告書はありますか」
「月次のミーティングと業務報告は定常的に行っています。
他は、必要に応じてと言ったところです」

「書面で報告するような指示はあまりないということですか」
「そうですね。先ほど言ったように何か確認したいことがあれば、
適宜確認していますから、余り書面化する必要性がないのです。
そもそも無駄な労力をかけたくないですから」

「それで問題はおきないのですか」
「これまでは起きていないと思います。
それよりも意思決定が早いので効率的だと思います」


さて、先ほどとは対照的な光景ですね。

これまでのツールは、部下が上司を無条件に尊重することが常識だった時代は有効で
あっても、現代のように役職や肩書よりも人間性や人格を尊重する時代にあっては、
上司であるというだけで部下が心から従うことはないのです。私たちはこの現実を
真摯に受け止めなければなりません。

もう一度、リーダーとしてのスタンスを見直さなければ下記のような現象を改善する
ことは難しくなります。


【階層意識と従来のマネジメントによって開発プロジェクトで発生する現象】

・リーダーが現場の状況を把握できず、一方的な指示を出す。作業過多の際にも、対策無く追加指示を出す。

・メンバーへの適切な指示が必要な場合でも、現場任せにしてプロジェクトが迷走する。

・リーダーがメンバーの詳細作業ばかり気になり、リーダーが現場へ降りてしまう。(リーダー不在となる)

・メンバーがリーダーへ報告を上げなくなる。(都合の悪いことを隠す)


では、チームビルディングにおける理想のチーム像とはどのようなものなのか。

結論から言えば「チームのメンバー(リーダーを含む)全員がリーダーシップを
発揮している状態」です。
ただ、一足飛びにこの段階には行くことはできません。
ですから、これからお話しするステップにしたがって進めていく必要があるのです。


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◆階層構造ではない本来のチーム像
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組織論におけるもっともシンプルな組織の成り立ちについてお話しします。

「この指とまれ!」
指を掲げた人が「私は社会からデジタルデバイドをなくしたい!(ミッション)」「そのために子供からお年寄りまで誰でも使えるインターフェースを開発したい!(ビジョン)」を掲げ、賛同者を募る

そのミッションとビジョンに共感、賛同した仲間が集まり、その指にとまる。
「一緒にそのミッションを実現したい」「そのビジョンを達成するために一緒にやろう」
このミッションとビジョンが求心力となり賛同者が集まり創られた集団。
それが本来のチームです。

始めからやるべきことも方向性も一致していますから、後は個々のメンバーの特性を
活かした役割分担(フォーメーション)が決め、協働によってミションやビジョンを
達成していく。


ところが一般の企業組織、チームではミッションやビジョンが曖昧です。
仮に明確であっても自分の意志でチームへの参加を決めたわけではないですから、
共感がないわけです。

ですから、求心力は生まれず方向性はバラバラで単なる個人の集まりになるわけです。


その集団をリーダーとの信頼関係も創らないままに、指示命令や報連相を駆使して
マネジメントしていけば、前述の様々な現象が噴出し、メンバー間の連携は生まれず、
結果としてリーダーは増え続けるチーム課題と個々のメンバーに対応に追われることに
なります。

リーダーへの負荷はメンバーの数に応じて膨らみ続け、最後は管理限界となり
マネジメントを手放さざるおえなくなります。


この状況を打開するためには、本来のチームの形を創るしかないのです。
つまり、求心力によってメンバーが結束し、協働によってチーム目標
(ミッションやビジョン)を達成するチーム創りです。

そのために重要なことはリーダーがまず求心力となることです。
これは本来の求心力であるチームが共感できるミッションやビジョンが明確になり、
メンバーが自律的に行動できるようになるまでです。

(次回、3話に続く)


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