小売の棚から消える……? 「綾鷹VS.伊右衛門」の仁義なき戦い
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月20日 11時0分
小売の棚から消える……? 「綾鷹VS.伊右衛門」の仁義なき戦い
緑茶市場の競争が激化している。小売店が自社で企画・製造する、安価なPB(プライベートブランド)商品の大幅な成長を受け、NB(ナショナルブランド)緑茶ではかなり厳しい状況が続いている。
そんな中、メーカー各社は商品リニューアルを実施し、生き残るためにさまざまな工夫を凝らす。
昨今、気温上昇を背景に飲料全体で「ごくごく飲みやすい」味わいがトレンドになっている。コカ・コーラシステムの「綾鷹」はこのトレンドに注目し、うまみは残しつつも後味は軽やかな味わいにリニューアルした。また、容量も従来の525ミリリットルから650ミリリットルに増やしている。
一方サントリー食品インターナショナル(以下、サントリー)の「伊右衛門」は、お茶の「濃さ」を追求した。伊右衛門本体史上最高レベルの濃さを実現し、茶葉の味わいをしっかり感じられる、うまみの強い中身を目指したという。
実は、伊右衛門と綾鷹はNB緑茶カテゴリーにおいて、伊藤園の「お~いお茶」に次ぐ2位争いを長年繰り広げている(飲料総研の調査より)。
サントリーは「将来的にNB緑茶は少なくとも2番手までしか棚に残れなくなるかもしれません」と危機感を語る。2023年の販売実績では、飲料事業は好調にもかかわらず伊右衛門だけは前年比7%減と大きく落ちこむ結果に。伊右衛門は今回のリニューアルに“かけている”と言っても過言ではない。
しかしトレンドは「飲みやすい味わい」。時代の流れに逆行しているリニューアルのように感じるが、なぜ同社はとにかく「濃さ」にこだわったのか。SBFジャパン ブランドマーケティング本部の三宅克幸課長に話を聞いた。
●トレンドと逆行? 伊右衛門が「濃さ」を追求した深い理由
ペットボトル緑茶は種類が豊富で、各社の企業努力もあり「どれもおいしい」状態だという。どれを選んでもさほど変わらない中で、消費者はより安いPB商品に流れているという。
22年10月出荷分から価格改定をし、伊右衛門は140円から160円(希望小売価格)に値上げ。PB商品との価格差がさらに開いたこのタイミングで、販売状況は苦しくなったという。
三宅さんは「お客さまが緑茶を選ぶ時の選択肢を、価格以外で提供できていなかったかもしれない」と振り返る。
「緑茶カテゴリーの中で、生き残っていくには、未来未来永劫(えいごう)愛される商品にならなくてはいけません。メーカー側が『どれも変わらない』と認めてしまえば、終わりだと考えました。
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