「セクハラ被害で起業を諦める」論争、問題点はどこか? 深刻な二次被害も
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月15日 7時20分
NHKが報道した、女性起業家のセクハラ被害について、SNSで賛否が巻き起こった
本年8月末にNHKが、女性起業家が遭遇したセクハラ被害について報道した。
それに対して、とある経営者がSNS上で「セクハラなんて可愛く思える位、エグい経験するのが会社経営。それで諦めるなら、起業家には向いてない」との主旨のコメントを投稿し、賛否両論を巻き起こした。
筆者は、企業や官公庁、自治体、業界団体などに対してハラスメントの予防対策を伝え、被害解決の支援を行う専門家だ。以前と比べてハラスメント関連の啓発は進みつつある一方で、ハラスメント被害の実態、特にセクハラについては、まだまだ理解が及んでいないこと、誤解されていることも多い。
議論が生まれたこの機に、本件の背景事情と一連の議論における問題点、セクハラが引き起こす二次被害など、リアルな実態を紹介・解説する。
●「セクハラ被害で起業を断念」 賛否を分けたのは
議論の元となった報道は、NHKの「女性起業家の半数がセクハラ被害” スタートアップ業界で何が」と題された記事だ。
「過去1年間に女性起業家の半数がセクハラ被害に遭っている」との内容で、実際にセクハラ被害を経験した女性による実名での告発のほか「投資の見返りに性的関係を求められた」「女性に管理職は無理と言われた」「セクハラについて周囲に相談したら『相手は権力者だから黙っておいたほうがいい』と忠告された」といった生々しい被害報告がなされていた。
報道によると、加害者の属性は投資家や取引先など、起業家に対して強い立場にある人物が多くを占めているという。その背景事情として、ベンチャーキャピタルの投資意識決定層やスタートアップ業界における男女割合の極端な偏り、「セクハラは当たり前」的な環境が指摘されていた。社会の半分を占める女性が働きにくい環境では、スタートアップ業界の成長も見込めない。多様な人材が活躍できることの必要性が説かれるものであった。
その後当該報道に対して、とある企業経営者がSNS上で投稿したコメントが話題となった。
厳しい言い方になるけど、これで諦めるなら、起業家には向いてないんじゃないかと。
セクハラなんて可愛く思える位、エグい経験するのが会社経営です。
守られてる立場で働いた方がその人の為。
自分の身は自分で守る、会社も自分で守らないといけないんだから、その器じゃないと言う事。
この意見に対して「確かに、経営者なら相応の覚悟が必要だ」「いや、セクハラに無自覚すぎるのでは?」と、賛否入り乱れる議論となったのだ。
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