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日本からデカコーンは生まれるか? 有力候補、マネーフォワードとフリーを徹底分析

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月19日 7時30分

 顧客は、中小企業からグローバル企業まで幅広い。また中小企業と一口に言っても事情はさまざまだ。オーナー企業なのかグローバル企業の子会社なのかといった資本関係や拠点数はもちろん、業務の流れ、IT機器の導入状況や通信環境、在庫や仕掛品の有無、対応すべき業法、意思決定プロセスなど、あらゆる点で違いがある。そのため、各社でERPを導入する際に考慮すべき点は大きく異なる。

 こうした多様な顧客の要望に応えるべく、コンピューター環境の進化にあわせて新たなERP事業者が参入していった。加えて、大企業向けの事業者はより小規模事業者へ、小規模事業者向けの事業者はより大きな事業者へと事業領域を拡大していった。

 ERPの起こりは、ドイツのSAPだ。大型汎用機の普及と共に会計、受発注、在庫など多様な基幹業務システムを統合するERPを1973年に発売した。

 日本では1960~70年代にかけて、大塚商会、富士通、NEC、オービックなどが、国内の中小企業用事務処理専用コンピューターに基幹ソフトウェアを搭載して提供した。この基幹ソフトウェアは、後のERPへとつながるものだった。また、会計事務所業務の効率化を行う事業者として、ミロク情報サービスらが現れた。

 この時代は、メーカー間の互換性が低かった(クローズドシステム)ため、コンピューターメーカー各社が独自の業務ソフトウェアを搭載し、顧客に提供していた。

 1980年代には、パソコンと標準的なOSの普及に伴い、異なるメーカー間の互換性が上がった(オープンシステム)。これにより、ソフトウェアメーカーにとって、パッケージ製品を作る魅力が高まった。こうした変化を背景に、パッケージ会計ソフトを開発し販売するオービックビジネスコンサルタントや弥生が登場した。

 2010年代になると、クラウド環境で会計ソフトウェアを提供することが技術的に可能になり、フリーやマネーフォワードが参入した。

●クラウド型ERPを後押しした環境変化

 クラウド技術の進歩と、クラウドサービスへの社会的信頼感が醸成され、クラウド型ERPが導入されはじめた。一方、その普及には時間がかかっていた。2020年時点でも給与・財務会計・人事でのクラウドサービス利用率は4割未満だった(※4)。当時サービス利用を阻む理由として挙げられていたのは、既存システムの改修コストや情報漏洩リスク、ネットワークの安定性やコンプライアンスへの不安だ。

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