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日本からデカコーンは生まれるか? 有力候補、マネーフォワードとフリーを徹底分析

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月19日 7時30分

 この事業機会に対して、マネーフォワードは2020年2月に内部統制機能を追加した中堅企業向けの会計システム『マネーフォワード クラウド会計Plus』を発売した。同年10月には『マネーフォワード クラウドERP』を開始し、2021年末までに「債権請求」「債務支払」「固定資産」「人事管理」の4領域でサービスを開始するとアナウンスした。

 翌2021年には、M&Aも加えて、10プロダクトを一挙展開した。その中には、電子契約サービスやビジネスカード、社内のSaaSサービス利用の管理システム、電子帳簿保存法に対応する証拠管理用のストレージサービスが含まれており、発生してきたニーズに対して素早く対応すると共に、従来のERPの枠を拡張した事業を展開しようとする姿勢が見られる。

 このときマネーフォワードは、中堅企業が段階導入しやすいように機能をモジュールに分割して販売することで、プロダクトの単価を上げずに最初の製品を導入してもらいやすくした。まずはひとつの製品で顧客に成功体験を得てもらい、次の製品の導入につなげ、全体として顧客単価を上げていくという売り方が効いた。

 さらには、SaaS×Fintech戦略を掲げ、従来のERPの枠を超えたサービスを開始した。具体的には、ユーザーの債権・債務データを活用した与信によりビジネスカードやファクタリングサービスを提供したり、請求書カード払いのサービスを開始したりしている。

導入に必要な直販体制の整備

 中堅企業は、中小企業と比較して、従業員数が多くワークフローが複雑で、処理すべき業務やデータが多い。加えて、特定担当者のみが理解しており、標準化やマニュアル整備が遅れている会社もある。

 創業時からしばらくは小規模事業者を顧客の中心として会計士とWeb直販を通じて販売をしていたマネーフォードだが、中堅企業へと対象を広げる中で、中堅企業ならではの多様なニーズに対応する体制を整えた。そのひとつが、有望な見込み客を創出するマーケティング、有望な顧客を受注に導く直販営業部隊、受注後に顧客が効果実感に素早く至るように支援するカスタマーサポートで分業する、直販分業体制だ。

 マネーフォワードは、2016年のクラウド経費販売時から直販分業体制を取り入れ、2018年には、人事領域でも直販部隊を立ち上げていた。マネーフォワードビジネスカンパニーCOOの竹田正信氏は、2024年7月の筆者によるインタビューで次のように語った。

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