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日本からデカコーンは生まれるか? 有力候補、マネーフォワードとフリーを徹底分析

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月19日 7時30分

(※4)総務省「通信利用動向調査」より

 こうした中で、クラウド型ERPを普及させる大きな社会的変化があった。法制度の変更だ。

 度重なる法制度の変更は、ソフトウェアアップデート頻度を高め、自動的にアップデートされるクラウド型のメリットが高まった。具体的には、2019年10月の消費税率変更や度重なる電子帳簿保存法改正(2020年10月に電子取引の際経費の領収書原本保存不要。2022年1月電子取引のデータを電子保存義務化)、2023年10月のインボイス制度施行など企業のバックオフィス業務のDX推進を後押しする法律が制定された。これらの変更により、従来、紙で保管していた請求書や領収書を電子取引データとして保存したり、詳細に指定されたインボイス記載項目を自動的に埋められるソフトウェアを活用したりするメリットが高まった。

 加えて新型コロナの感染拡大を受け、2020年4月に緊急事態宣言が発令される中で在宅勤務対応に迫られ、オフィス外で業務遂行できるクラウドのメリットが高まった。政府は、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金により、こうした中小企業の対応を促した。

 こうした動きにより、クラウド型ERPの市場規模も着実に伸びた。IT調査会社アイ・ティ・アール(東京都新宿区)のまとめによると、2019年の市場規模360億円から、2023年1030億円の3倍強に伸びたと推定されている。

●事業機会を捉え一気に展開したマネーフォワード

 クラウド型ERP市場で機会が広がる中、マネーフォワードは、中堅企業(※5)向けERPにおけるチャンスを見逃さず迅速に事業を拡大したことが功を奏した。

(※5)フリーでは従業員数20人以上をMidセグメントに、マネーフォワードはフィールドセールスが対象とする概ね従業員数50人以上の企業セグメントを中堅企業と本稿では置いた。

2021年に10プロダクトを急展開

 マネーフォワードは、2019年時点で、数々の失敗を経ながら家計簿アプリや金融機関向けサービスなど、事業を多角化していた。数あるプロダクトの中で、中堅企業セグメント向けの勤怠管理や経費精算で他社ERPシステムへ連携可能なプロダクトが、急激に伸びた。2019年11月期、中堅企業向けARR(年間定期収益)が約2億4000万円で前年比10倍超の成長を遂げた。後に述べる中堅企業向け直販体制の整備により、給与・勤怠、経費精算等、中堅企業向けプロダクトの販売を積極化。複数プロダクト利用傾向が増えてきたことを受けて、複数プロダクトを利用しやすい料金・サービスプラン体系へと基本料金を一本化したことが、ARR成長に寄与した。

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