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ショートドラマ人気の「必然性」 背景にある「新しい消費スタイル」とは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月18日 6時30分

 ショートドラマは世界の市場規模でみると、2029年に566億ドル(8兆7000億円)に達する予測もあり、直近5年で急成長が見込まれている。BUMPもDramaBox同様にSNS上の作品の切り抜き動画が呼び水となっており、「作品の一部をどこかで一度は見たことがある」というSNSを使用していれば目に触れないようにするのは難しいコンテンツの1つとなっている。

 このようなショートドラマアプリの台頭の背景には、縦型動画市場の成立とタイムパフォーマンスが影響していると考えられる。スマートフォンが登場した当時は当時はインターネットへアクセスする主な手段はPCだったが、「令和3年度情報通信白書」によると、個人のスマートフォンの保有者の割合が、2018年には79.2%、2020年では86.8%と9割近くなっており、その市場変化に伴ってスマホと相性の良い縦型動画が普及していった。

 TikTokが日本でサービスを開始したのは2017年10月、Instagramに「リール(Reels)」機能が追加されたのは2020年8月と、縦型の短尺動画のためのプラットフォームが整い始めたのもその頃の話だ。

 わざわざ動画を視聴するためにスマホを横に持ち替える必要のないシームレスさや、興味のない動画をスクロールしたり、視聴が終われば回転ずしのように次から次へと動画が自動に再生されたりすることを、われわれ消費者が動画視聴の習慣として享受していったことで、生成される(ということは消費される)縦型動画の数が増加していった。

 また、動画に限らず、われわれの身の回りの情報量は圧倒的に増加した。2020年、世界のデジタルデータの年間生成量は59ZB(ゼタバイト)を超え、2025年には180ZBに到達すると予想されている。私たちになじみ深いGB(ギガバイト)で換算すると「1ZB=1兆GB」となる。180ZBが途方もない数字であると分かるだろう。

 昔よりも圧倒的に処理しなくてはいけない情報が増えているのだ。「1日24時間」は変わらないのに、消費者はYouTubeをはじめとした動画プラットフォームやサブスク、SNS、併せて従来のメディアであるテレビ、マンガ、ゲーム、雑誌、音楽も消費しなくてはならない。情報がありあまるなかで、時間的な制約が存在しているともいえる。言い換えれば、使えるリソース(お金や時間)は有限なのに消費したいモノに溢(あふ)れているのだ。

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