ショートドラマ人気の「必然性」 背景にある「新しい消費スタイル」とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月18日 6時30分
また、現在の自身のメディアとの接触ポイントを思い浮かべてみてほしい。朝起きて、朝食を食べながらスマホを見て、通勤中の電車内でスマホを開き、昼休みや就業中にスマホを開き、退社してから夕食までの時間にスマホを開き、夕食後から寝るまでの間もスマホを開き続けることができる。
現代は、やろうと思えば1日中スマホから情報を得続けられる。場所の制約すらなくなったため、トイレでもお風呂でも情報を得られる。常に情報の波がそこに存在するわけだ。少しのスキマ時間も動画視聴やSNSで埋められるため、そのスキマ内で完結できる動画を好むようになる。
すると、コンテンツを手短に消費しようとし、ますます短い動画の需要が高まる。「インスタントに娯楽への欲求を満たすコンテンツの消費文化」がそこにはあると筆者は考える。
●短尺動画が満たしている「ニーズ」
このように、消費するモノが多すぎて何を消費していいかわからない、長尺コンテンツをみて失敗したくない(時間を無駄にしたくない)、でもインスタントに娯楽への欲求を満たしたい、という現代消費者のニーズを満たしているのが短尺動画なのである。
YouTubeでも「10分見ているのがキツい」と考える者も増えており、それに伴って2020年ごろには長尺動画に入れられるミッドロール広告の仕様が10分以上の動画から8分以上の動画へと短くなった。
これは6秒前後の動画投稿ができるVine(2016年サービス終了)や15秒の動画を投稿できるTikTok(最近では長尺動画も投稿できるようになった)をはじめとしたショート形式の動画共有サービスがSNSの主流になったからだ。TikTokが若者のSNSの中心になったことで、YouTubeもTikTokを意識したショート動画が投稿されるようになった。YouTuberがTikTokの動画を使ってYouTubeへ誘導しようとしたり、TikTokの動画がYouTubeやInstagram、LINE、Facebookなど他のプラットフォームに流用したりされるなど、とにかくTikTokの影響を強く受けている。
その結果、短い尺のなかで起承転結がつく、技巧を凝らさないインスタントな娯楽でも満足できるという消費文化も合わせて定着してしまったといえる。クオリティの高い長い動画を1本見ることよりも、短い動画を何本も見たという事実(消費したという事実)の方が、満足度が高いと考える消費者が増えたともいえるのかもしれない。
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