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ショートドラマ人気の「必然性」 背景にある「新しい消費スタイル」とは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月18日 6時30分

●弱まる、コンテンツを消費する忍耐力

 一方で、エンターテインメント業界に向けたデータ・デジタルマーケティングサービスを提供するGEM Partnersの「映画鑑賞者調査」によると、74%が「見たい映画の上映時間の長さによって映画館での鑑賞をためらうことがある」と答えている。約4人に3人が上映時間の長さによっては映画館での鑑賞をためらうのだ。

 上映時間120分(2時間)以上で21%、140分(2時間20分)以上で33%、160分(2時間40分)以上で45%、180分(3時間)以上で63%がためらうと回答している。確かに筆者自身、上映時間を見てギョッとし、気合いを入れてから映画館に行くことが増えたのも事実であるが、コンテンツの長さ(拘束時間)だけを基準に鑑賞するコンテンツを決めるのは何とも味気ない。

 体感ではあるがショート動画が溢れるようになってから、コンテンツ消費における忍耐力や持久力のようなものが弱まった気がする。自戒でもあるが、消費できるものはたくさん溢れているのかもしれないが、その全てを消費する必要はない。それこそ、コンテンツを視聴する上で場所的制約はなくなったわけなのだから、常にタイパのいいコンテンツばかりを視聴するのではなく、分割して見るなどの工夫もできる。

 時間を理由に長尺動画から距離を取るのは、良質なコンテンツとの出合う機会を自ら放棄することになるわけで、それはもったいない行為かもしれない。

●著者紹介:廣瀬涼

1989年生まれ、静岡県出身。2019年、大学院博士課程在学中にニッセイ基礎研究所に研究員として入社。専門は現代消費文化論。「オタクの消費」を主なテーマとし、10年以上、彼らの消費欲求の源泉を研究。若者(Z世代)の消費文化についても講演や各種メディアで発表を行っている。テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」、TBS「マツコの知らない世界」、TBS「新・情報7daysニュースキャスター」などで製作協力。本人は生粋のディズニーオタク。瀬の「頁」は正しくは「刀に貝」。

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