TikTokは存続できるのか? 米中対立が引き起こす巨大プラットフォームの試練
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月24日 7時40分
一方で2022年、TikTok側はいかにアプリが安全かをアピールするために「プロジェクト・テキサス」なる活動を開始した。TikTok公式サイトによれば「プロジェクト・テキサスは、TikTokを利用する全ての米国ユーザーに安心感を与え、データが安全であり、プラットフォームが外部の影響を受けないという信頼を与えることを目的とした前例のない取り組みです」とし、「国家安全保障上の懸念に具体的かつ測定可能なソリューションで正面から取り組むことで、透明性と説明責任の概念を実践します」と宣言している。
2023年にはジョー・バイデン政権で、TikTokの米国法人のCEOが連邦議会の公聴会に呼ばれ、アプリの安全性について5時間にわたって厳しい質問を受けた。ただ、中国政府がTikTokにどれほどの支配権または影響力を持っているのかについての質問に明確に回答しなかったために、メディアからも厳しい批判を受ける結果となった。要は、中国政府がTikTokのユーザーデータなどにアクセスできるという疑念を払拭することができなかった。
●中国政府がコンテンツを操る“疑念”
そもそもTikTokにはいくつかの疑念が生じている。まずは中国政府がバイトダンス(つまりTikTok)の事業に影響を持っているのではないかという疑惑だ。中国には、政府が中国企業に内部データへのアクセスを要請できる国家情報法などがあり、全ての中国企業は政府の手の内にあると西側諸国では批判されている。米国や日本などで収集されたユーザーデータが中国政府の手に渡ることを警戒する向きもある。
筆者がさらに重要だと思うのは、コンテンツへの影響だ。TikTokでは、特にオススメ機能に中国政府の影響が及ぶ可能性が指摘されており、オススメのコンテンツから中国政府に都合の悪い情報が排除されるのではないかという疑念がある。逆に、中国政府が「喧伝(けんでん)」「教育」したい情報は、ユーザーが意識しないうちに出てくる仕組みになっているとされる。中国政府などが都合よくユーザーの価値観を変えてしまいかねない。
先に触れた公聴会でも、これらの指摘を覆すような回答はなかったとして、米国ではTikTok排除への動きが続いてきたのである。
2024年4月、米議会がTikTok禁止法を可決。すぐにバイデン大統領が署名し、TikTokが禁止される可能性が高まった。それによれば、2025年1月19日までにTikTokを売却しなければ、国家安全保障を理由に米国で禁止すると定めている。
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