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TikTokは存続できるのか? 米中対立が引き起こす巨大プラットフォームの試練

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月24日 7時40分

 するとTikTok側がこの決定を不服として、米最高裁に法律の差し止めを求める申し立てを行い、最高裁で協議が続いていた。だが、最高裁は2025年1月17日に禁止法を全会一致で支持する決定をしたというわけだ。

 TikTok側の言い分としては、ソースコードは中国にあってエンジニアリングも中国で行われているため売却は不可能だ、というものだ。

 すると、就任目前のトランプ氏がコメントを発表。「合弁事業を設立して米国が50%の所有権を持つことを望む。そうすることで、TikTokを救うことができ、安全に成長させることができる。米国の承認がなければ、TikTokは存在できないが、承認があれば数千億ドル、または数兆ドルの価値になる」と述べている。

 つまり、米国企業との合弁事業として50%の所有権を米国が持つ、ということだ。

●救済措置がビジネスや外交を有利にする?

 この提案は強引に聞こえるかもしれないが、そもそも中国も米国製のアプリを制限している。中国では、SNSのXやFacebook、Instagramなどが政府により禁止され、使うことができない。WhatsAppやFacebookのMessenger、LINE、Telegram、Signalも使えない。GmailやYouTubeなどGoogle系サービスも禁止されている。

 そんな中で、米国が安全保障の問題でTikTokを禁止することに、中国は何ら口を出すことはできない。50%の所有権を手放すことで米国で引き続きビジネスができるのなら、トランプ大統領に感謝すべきところだろう。

 ちなみにトランプ大統領が、TikTokの全面禁止を支持しない理由は別にある。それは、ゴリゴリの共和党支持者でトランプ支持者でもある大富豪のジェフ・ヤス氏の存在だ。ヤス氏はバイトダンスの株式の15%を保有する米企業の共同設立者で、トランプ大統領にTikTokを禁止にしないよう働きかけたとみられている。

 トランプ大統領が前政権から変節した理由の一つがこれだという。

 これには、前駐日大使だったラーム・エマニュエル氏が米CNNに出演して、以前は危険だと言っていたTikTokに対してポジションを変えるのはいかがなものかと苦言を呈している。「中国は米国人を狙っている。どうして米国の子どもたちのデータが中国の影響にさらされ、データが収集されるのを許すのか」とも述べている。「トランプは米国の安全保障よりも大口寄付者を優先している!」ということだろう。

 一方、今回の問題について、トランプ大統領が大人の対応で海外企業を救ったとなれば、今後の米国への投資にプラスに働く可能性がある。さらにトランプ大統領が今後、習近平国家主席とさまざまな交渉をしていくなかで、この救済措置をカードとして使っても不思議ではない。

 とにかく、TikTokは今後も米国で中国色を薄めてサービスが続けられる可能性が高い。ただそれでも、データの安全性や中国の影響など、TikTokに対する懸念は解消されないだろう。また、米国国内の政治や米中関係の外交のカードとして使われるだろう。今後の動きから目が離せない。

(山田敏弘)

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