やりすぎやん、スシロー! 鶴瓶のCM“抹消”は危機管理的にアリかナシか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月5日 6時10分
確かに、これから鶴瓶さんが今回の「トラブル」や中居氏とフジテレビとの関係に関与していたという「続報」が出る可能性はゼロではない。しかし、それは出てから対応すればいいだけの話だ。
そもそも危機管理における意志決定は「事実」に基づくことが鉄則だ。危機発生時のワークフローなどでも事実確認の徹底や三現主義(現場、現物、現実の重視)に基づく社内連絡や経営判断が求められる。
なぜそこまで「事実」にこだわるのかというと、「ムード」「予感」「先入観」「思い込み」などのカンピュータ的な経営決断は、その場は勢いで乗り切れても、そのしわ寄せから組織にさまざまな「ゆがみ」がもたらされるからだ。
●スシローが生んでしまった新たな企業リスク
今回のスシローの対応はその典型だ。現時点で鶴瓶さんの行動には何の違法性もないし、人としてモラルを欠いた事実も確認されていない。にもかかわらず「お客さまの声」というムードに配慮して、鶴瓶さんを切り捨てた。一見すると、「客の声にしっかりと耳を傾けていい会社じゃないか」と感じるかもしれないが、この行動によって、例えば以下のような新しい企業リスクが生まれている。
(1)「客からのクレームに弱い企業」と露呈
(2)鶴瓶さんが注目されるたびこの件が蒸し返される
(3)アイリスオーヤマとの対比で「非情な企業」イメージ
まず、(1)についてはそもそも「企業に意見をする人たち」についての正しい認識が必要だ。
お客さま相談室やコールセンターでの勤務経験がある方は分かると思うが、今回のような問題が起きた際、企業側にあれやこれやと意見を述べる人の中には、「とにかくただ文句を言いたい人」「自分の主張を押し付けて謝罪や対応を求めることに心血を注ぐ人」というのがかなりいらっしゃる。
もちろん、社会正義のような高尚な理由からや、今回の被害女性への配慮などを真剣に考えた末、「鶴瓶を出すな!」と怒ってらっしゃる人もたくさんいる。しかし、中にはそんな深いところまで考えずに「なんとなくムカつく」「フジの会見で腹が立ったので鶴瓶も同罪だ」という理不尽爆盛りな感じの人も多いのだ。
こういう「モンスタークレーマー」の要求は、どんどんエスカレートしていくものだ。すぐに謝罪すると、「誠意が足りない」「土下座しろ」などと言ってくる。一度、返金や慰謝料に応じたら「もっと大きな額をよこせ」と迫ってくる。一度弱みを見せると、そこを突破口にして攻めてくるものだ。
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