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やりすぎやん、スシロー! 鶴瓶のCM“抹消”は危機管理的にアリかナシか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月5日 6時10分

●なぜスシローは「悪手」を取ってしまったのか

 そこから2週間も経たないうちに、間の悪いことに今回の「鶴瓶切り捨て騒動」が起きてしまった。繰り返しになるが、現時点では鶴瓶さんには何の違法性も人権侵害も認められていない。週刊誌が「BBQに同席をしていた」と報じただけだ。

 警察沙汰になった俳優を引き続き起用し、応援することを決意表明したアイリスオーヤマと比べると、スシローの対応はあまりにも冷たく見えてしまう。「ああ、スシローにとっては鶴瓶さんはその程度の存在だったんだな」と感じた人も多いはずだ。

 こうした企業イメージも、案外尾を引く。ネットやSNSでは面白おかしく語られる格好の「ネタ」だからだ。

 以上のように、スシローの今回の対応は危機管理的には「悪手」だと言わざるを得ない。そこで、気になるのはなぜこうなってしまったのかということだ。

 いろいろなご意見があるだろうが、筆者は同社の中に「厳格な対応=危機管理」という誤解がまん延しているからではないかと思っている。過去に大きな不祥事や、危機が発生した企業というのは危機管理意識が非常に高くなるのが一般的だ。

 もちろん、それは素晴らしいことなのだが、その反動で「過剰な危機管理対応」になってしまう。筆者はこれを「オーバーツーリズム」ならぬ、「オーバー危機管理」と呼んで問題視している。

●「オーバー危機管理」になってしまったワケ

 社会から叩かれたトラウマがあるので、少しの問題でもすぐに謝罪や撤回、商品やサービスの停止などに踏み切る。スシローもかつて「おとり広告」問題でボロカスに叩かれた。その苦い経験があるので、ちょっとしたリスクも見逃せない。今回のように、ちょっとでもミソが付いた鶴瓶さんをすぐに「排除」したのも、これが理由ではないか。

 スシローといえば、「しょうゆ差しペロペロ少年」の問題が起きたとき、6700万円の損害賠償請求をして世間から称賛された。ただ、企業危機管理の世界では、これは「悪手」以外の何者でもない。理由は当時書いた『スシローは「6700万円の損害賠償請求」を止めるべき、3つの理由』を読んでいただきたい。

 もちろん、この記事はジャーナリストやら知らない人たちから「少年を訴えないとスシローは株主から訴えられるぞ!」とか「少年と家族は死ぬまで償いをすべきだ!」とボロカスに叩かれたが、そういう次元の話ではないことは、それからほどなくしてスシローが訴えを取り下げたことが、全てを物語っている。

 こういう前例のある企業が、今回も「お客さまの意見」を理由に鶴瓶さんを切り捨てるという「過剰な危機管理」に走ったのは、個人的にはかなり納得感がある。

 いずれにしても、今回のスシローの対応はいろいろな意味で興味深い。この「過剰防衛」が今後どう企業イメージに影響を及ぼすのか。吉と出るか凶と出るか、今後の動きに注目したい。

(窪田順生)

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