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日本通信が“290円で作ったCM”を流したワケ 290円プランの訴求で収益が出るのか? 福田社長に聞く

ITmedia Mobile / 2024年9月25日 14時39分

 カメラはiPhoneでいけますし、ストレートにメッセージを伝えていけば15秒の枠で十分です。Apple時代のとき、僕のプレゼンは全て手書きでした。タイプアウトしてきれいなものばかりな会社だったので、あえて手書きで作るということをずいぶんやってきました。それをやろうとして、僕の手書きにしたのですが、最初はダメ出しされてしまい(笑)。「僕には読めますが、世の中の人は読めない」と言われてしまいました。

 その日に社員を集めてオーディションをやり、声と文字を書く人を決めました。声優に頼んだら290円に収まるわけがないので、ナレーションをやってもらう人や紙に文字を書く人を社員から募集したところ、応募が90人を超えました。社員数を考えると、結構な比率ですよね。その中に、結構いい声の人間がいました。手書きも普段は見ないので新鮮でしたね。企画を考えてから、ちょうど1週間でそこまで進みました。

―― 広告代理店は制作にかかわってないんですね。

福田氏 ないですね。スティーブとテレビCMをやったときのことを思い出しました。スティーブがAppleに戻ってきて最初にやったのは、クリエイティブを戻すことでした。あの時のAppleにはお金がなかった。当時議論したのは、今日決めなくてもいいものは、いかに頭に残っているかが勝負になるということです。有名な「1984」のテレビCMもオンエアしたのは1回だけ。スーパーボールに合わせました。1回しか流されていませんが、伝説のようにメッセージとして残っています。

 当時のAppleが一生懸命やっていたのは、アウトドア(屋外広告)です。人間の脳は、記憶と場所をつかさどっているところが同じで、歩き回ることが重要になります。最近では科学的に証明されてきましたが、屋外で巨大なものを見たことは記憶に残りやすい。ですから、徹底的に屋外広告をやりました。やはりうちも、ある程度記憶に残るものをやりたい。ただ、記憶に残っただけで何のことか分からないと困ってしまうので、290円ということが残るようにしました。

 あとこれは、日本通信という漢字の社名があったからできたことですね。アルファベットで、聞いたことないような会社名だったら成立しなかったと思います。

―― 名前は規模感以上の重厚さがありますからね。日本を代表する通信事業者のような(笑)。

福田氏 NTTも東日本、西日本ですからね(笑)。b-mobileから日本通信SIMにして社名を全面に出そうとしたのも、それが理由です。いろいろな広告を見ていても、社名が残らない。ベタな社名はそういうときに悪くないなと思いました。サービスブランドとしても使っているので、これでいけるとなりました。

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