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「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり

ITmedia PC USER / 2024年4月24日 16時0分

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東京都中央区の日本IBM 箱崎事業所にて山口明夫社長にお話を伺った

ポストコロナ時代に入ったが、世界情勢の不安定化や続く円安など業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。前編の記事はこちら。

 日本IBMでは、独自の生成AIである「watsonx」(ワトソンエックス)を市場投入するとともに、2024年2月には、大規模言語モデル「Granite」(グラナイト)の日本語版モデルの提供も開始した。エンタープライズに最適化した生成AIとして、今後は業種に特化した日本独自の展開も進めることを、日本IBMの山口明夫社長は明らかにする。

 一方、日本IBMは2024年1月30日に東京都港区の「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に本社を移転。お客さまやパートナー、社員が輝いて議論できる拠点と位置づける一方、歴代社長としては初めて社長室を廃止した。

 インタビューの後編では、日本IBMの山口社長に、生成AIへの取り組みや虎ノ門新本社への移転の狙い、そして、日本IBMの価値共創領域におけるDXの推進やサステナビリティへの対応、人材育成への取り組みなどについても聞いた。

●ITとデータをいかに活用するか 日米の違い

―― 価値共創領域の2つめである「ハイブリッドクラウドやAIなどのテクノロジーを活用したDX」については、どんな成果が上がっていますか。

山口 これは多岐に渡っています。金融/医療/小売/製造など、いろいろな業種において、日本のお客さまのDXの推進を支援していますし、ユニークなところでは、中部国際空港でAI搭載ロボットを活用した空港警備業務の実証実験を行ったり、順天堂大学医学部附属順天堂医院小児医療センターでは、メタバース上で入院患者と面会ができるメタバース面会アプリを共同で開発したり、ボリュメトリックビデオ技術を活用して、名刺上に3Dで自身の小さな分身を表現できるARソリューションを開発したりといった事例もあります。

 よくメインフレームとクラウドを比較する議論がありますが、これは対比そのものが間違っています。ITシステムは、オンプレミスとクラウドという利用形態、メインフレームとサーバなどの中小型機というハードウェアによる組み合わせで捉えるべきです。

 メインフレームはオンプレミスで利用される場合もあれば、クラウドで利用される場合もあります。また、サーバもオンプレミスで利用される場合があれば、クラウドで利用される場合もあります。この4象限に整理して、何をやりたいか、その際に経済合理性を重視するのか、安定稼働を重視するのか、データのセキュリティを重視するのかといったことを明確にすれば、どこで動かせばいいのかが分かってきます。実現したいことを明確にし、適材適所でシステムを動かすことを理解している企業がDXを成功させています。

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