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タイ自動車産業が構造不況に 日系メーカー苦境

Japan In-depth / 2017年7月30日 22時30分

しかし、その輸出先の最大の仕向け地先である中近東の需要が冷え切っており、当面は弱含みでの推移となる模様。原油価格の動向次第とも言えるが、輸出台数の伸びが内需での低迷をオフセットして、各社の工場稼働率が高まるなどという期待感は、全くの雲散霧消と化した。

実際、タイの工業連盟自動車部会は先日、2017年の輸出予想台数を、従来の120万台から108万台程度に下方修正、生産台数予想も従来の200万台から190万台に下方修正した。2012年ー2013年のバブル期に、各社は大幅な生産設備の増強に走り、現在のタイの自動車生産能力は合計で約300万台とも言われる。下方修正された今期の生産台数190万台は、単純計算では工場稼働率は63%であり、この水準で利益を出すのは不可能である。

図1: タイの新車販売・輸出・生産台数 推移

(出所: マークラインズ)

勿論、この設備能力の大半は日本勢である。内需の減少と輸出の伸び悩みが当面続くと考えれば、どこかの段階で大幅な生産能力削減を実施しないと、未来永劫、タイでは利益が出ないという状況にもなりかねない。

新しい輸出先の開拓などと、なお呑気な期待感を抱かせる向きもあるが、現実問題として、タイの自動車販社の大半は赤字、自動車会社は工場稼働率を最優先させ、販社のバックヤードには新車在庫の山、定価の20%引きでの販売は当たり前だがそれでも車は売れない、、、。多大に日本の状況とその様子が被るのである。

4 足元の新車販売はバナナの叩き売り状態

タイの新車販売、及び輸出・生産台数は、1990年代から2010年ごろにかけては、多少の上下はあるものの、それぞれがゆっくりと成長していった。そこに2012年、タイ政府が補助金を出すことを決めたのである。

それまでタイはアジアのデトロイトとも言われ、特に日本車を中心として日本・中国を除けば、アジア最大の自動車の生産台数を誇っていた。裾野の広い自動車産業が発達することで、自動車部品や化学・機械・電機など、関連産業も拡大していった。

タイ政府はこれを更に後押しする形で、内需の振興を進め国内自動車販売台数の大幅な上積みを狙うため、初めて車を買う世帯に対し、補助金を渡して自動車の購入を推奨したのである。(写真1)

写真1: タイで販売トップのトヨタのIMV(Innovative International Multipurpose Vehicle)といわれるピックアップトラック

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