「国難突破解散」に疑問符
Japan In-depth / 2017年10月22日 20時0分
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
【まとめ】
・北朝鮮が核弾兵器や弾道弾を日米に撃ち込むメリット無し。
・安倍政権の北朝鮮の弾道弾、核兵器対策は不十分。兵器調達の合理性もない。
・自衛隊の即応性や能力が減退している現状で国防が全うできるのか。
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■ 北朝鮮は真の脅威か?
安倍首相は「国難突破解散」と今回の解散を呼んでいる。だが、最大の国難は安倍晋三総理だ。
安倍首相は北朝鮮の核兵器や弾道弾が我が国の極めて深刻かつ喫緊の脅威であり、これに対する対処が必要であることを解散の理由に挙げている。だが安倍政権は過半数どころか、現有は自公で323議席もある。これで何故解散する必要があるのだろうか。公明党が信用できない、という以外の理由は思いつかない。
安倍首相は強い指導力で、国家の壮大なフレーム構築能力があって、外交や軍事に明るく、強い指導者というイメージがあるが、完全にイリュージョンである。安倍首相は極めて重度の軍事音痴である。
そもそも明日にも北朝鮮が核弾頭を撃ち込んでくるぞ、と国民を脅すが、その根拠は極めて薄弱である。北朝鮮がこれまで長年に核兵器や弾道弾を開発してきたことは周知の事実であり、これを阻止するための国際的な制裁が効いていないことも、これまた周知の事実である。
▲写真 北朝鮮の弾道ミサイル「火星12号」 出典:CSIS Missile Defence Project
我が国に届く弾道弾は既にかなり前から実用化されている。昨日今日に実用化されたわけではない。その「国難」に対して何で今まで安倍政権は無策だったのか。
また水爆実験も実験に過ぎず、実用化、特に弾道弾の弾頭に搭載するための時間はかなりかかる。つまり、明日にでも水爆ミサイルが飛んでくるわけではない。急いで国会を解散する理由にはならない。逆に喫緊の脅威であるならば、のんびり解散して選挙などやっている場合ではない。
安倍政権が北朝鮮の核と弾道弾を喫緊かつ重大な脅威だと認識していたのであるならば国家防衛体制の強化、それは防衛省だけでなく民間防衛も強化する必要があった。だが、そんな政策は第一次及び今期の安倍政権において殆ど実施されなかった。小泉政権は国民保護法や有事法を制定したが、これらの法律を安倍政権が強化したという事実はない。
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