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「国難突破解散」に疑問符

Japan In-depth / 2017年10月22日 20時0分

オスプレイもこれまた同様でまともな調査やトライアルは行われなかった。しかも競合機とされたAW609はペイロードが小さい民間のビジネス機であり、ダンプカーを買うのに軽自動車を候補に入れるようなもので、完全に茶番だった。

しかも当時の小野寺防衛大臣は最終的にオスプレイを何機調達するか分からない、買ってから考えると記者会見で筆者の質問に答えた。つまり運用構想も調達計画も事実上存在しないということである。

現中期防でのオスプレイ17機は初度費用なども含み、約3600億円掛かるとされているが、これは陸自ヘリ部隊の年間調達費の約12年分であり、これを5年で調達することになっている。しかもオスプレイの整備費用はヘリの約3倍といわれており、そうであれば同クラスのヘリ50機分の整備費用がこれから毎年掛かることになる。

現在陸自のヘリ稼働率は5割程度といわれているが、これがオスプレイ導入によって近い将来大きく落ち込むだろうし、新規のヘリの調達も難しくなるだろう。これが例えば既存の攻撃ヘリAH-1Sの部隊を全廃するとか、1個旅団を削減するとかスクラップ・アンド・ビルドによって、予算をひねり出す努力をするならばまだしも、それもしていない。結果として陸自の稼働率や能力を下げているだけだ。

結局、安倍政権のやったことは、これらの自衛隊が使いこなせない高価な米国装備を購入することで米国に阿っただけである。そしてその代償として自衛隊の即応性や能力が減退している。これで国防が全うできるのか。

しかも防衛大臣には自分と思想が近いというだけで、経験不足の稲田朋美氏を防衛大臣に指名し、それがどういう結果を招いたか今更筆者が説明するまでもあるまい。

安倍首相は以前サミットで英国のEU離脱など理由に、リーマンショック以来の危機だと大騒ぎして、他国の指導者から失笑をかった。自分の党利党略で、事実を針小棒大に膨らませて、自らの利益の誘導のためにサミット参加国を巻き込もうとしたわけで、宰相として政治や外交判断力やセンスを疑われて然るべきであり、今回の騒動も同じ文脈であると判断できる。

北朝鮮の脅威をオオカミ少年宜しく煽って、支持率を上げ、解散を有利に運び、モリカケ問題を封印しようという魂胆だと非難されても仕方あるまい。そのような人物が首相であること自体が安全保障上大きな問題であり、我が国の「国難」であると言えよう。

トップ画像:安倍晋三首相とトランプ米大統領 出典/自民党2017政策パンフレット

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