1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 政治

「国難突破解散」に疑問符

Japan In-depth / 2017年10月22日 20時0分

そもそも北朝鮮が実際に核弾兵器や弾道弾を我が国や米国に撃ち込むメリットは全く存在しない。これらを使用すれば北朝鮮は米国によって地上から抹殺され、「金王朝」も同時に消滅する。北朝鮮が核兵器や弾道弾の開発・配備を続けるのは独裁国家の体制を維持し、生存するためである。つまり「政治的な兵器」であり、使ったらお終いなのである。

ショッカーやギャラクター、ましてはジオン公国などアニメや特撮の悪の組織ですら、地球征服や独立戦争を起こしたのは、それなりのビジョンと理由があったからだ。

繰り返すが北朝鮮が核兵器や弾道弾を開発、実用化しているのは「理由」と「利益」があるからだ。これらを政治的・外交的な脅しに使えるカードである。

換言すればそのカードを切ったら後がない。そのときは体制の維持どころか北朝鮮が無くなる可能性も高い。言うならば暴力団の暴力と同じである。暴力団が暴力を振るう、あるいは振るうと威嚇するのはそれが楽しいからではなく、儲かるから、経済行為だからである。北朝鮮の核兵器や弾道弾はこれと同じだ。

 

■ 北朝鮮の核以外の危機とは

核兵器と弾道弾を保有しているのは北朝鮮だけではない。国連の安保理常任理事国の米国、ロシア、中国、英国、フランスに加え、イスラエル、パキスタン、インドなど持っている。核兵器や弾道弾を持っている国が気まぐれで、それらを使う危険性があるというのであれば、これらの国が周辺諸国に核や弾道弾で面白半分に攻撃する危険も警戒しなければならいだろう。

独裁国家だからというのであれば中国もそうだろう。ロシアも我々の言う意味での民主国家ではない。むしろ独裁国に近い。中ロは戦後長年にわたって我が国に核弾頭の弾道弾を指向している。それらは多弾頭であり、北朝鮮のそれよりも遙かに洗練されて迎撃も難しい。なのに、北朝鮮だけが脅威であると宣伝するのは滑稽ですらある。

単に核弾頭付の弾道を持つ国というだけで「脅威」であるならば世界最大核保有国であり、同盟国の米国はもっと大きな脅威だろう。米国も我が国に核兵器や弾道弾を撃ち込む理由は存在しない点では北朝鮮と同じである。

繰り返すが、実際の国家である北朝鮮が何の政治的、外交的な果実を期待できないのに、面白半分に「政治的兵器」を使うわけがない。

仮に北朝鮮が実際に核兵器や弾道弾を我が国に使用する恐れが最近になって急に増大したのであれば、安倍政権は北朝鮮が核兵器や弾道弾を撃ち込む理由を説明すべきだが、していない。単に危ない、危ないと騒いで国民の危機感を煽っているだけだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください