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コマツの新型“8輪装甲車”差戻し

Japan In-depth / 2018年7月31日 23時6分


▲写真 8輪装甲車(改) 提供:防衛装備庁


コマツ案は同社が開発したNBC偵察車をベースに開発されたものであり、MHI案は同社が開発した105ミリ砲を搭載した、チェンタウロと同様の機動戦闘車の改良型である。この改良型はMitsubishi Armoured Vehicle (MAV)2014年のユーロサトリの日本ブースで同社が模型を展示して話題となった。MAVはMHIが自社ベンチャーとして開発した車体で、APC(装甲兵員輸送)型のサイズは全長8m、全幅2.98m(側面のスラット装甲と反応装甲は含まず)、全高2.2m、戦闘重量は最大28t。



▲写真 MHV 提供:清谷信一


オプションで、側面の後方にかなり厚めの反応装甲、スラット装甲の装着が可能。地雷・IED対策として、車内にはフローティング・シートが採用され、車体底部にもV字型の増加装甲が装着できる。乗員は車長、操縦手含めて合計11名。エンジンは自社製の4サイクル4気筒、536.4馬力のディーゼルエンジンで、サスペンションには独立懸架のダブル・ウィッシュボーン油圧式、全輪駆動方式を採用している。路上最大速度は100km/hと発表されている。


対してコマツ案は、2010年に陸自に採用された8輪のNBC偵察車をベースとした車体を提案した。全長:約8.4メートル、全幅:約2.5メートル、全高:約2.9メートル、乗員定数:11名、重量:約20トンである。車体下部はV字型になっており、地雷・IED対策が取られている。またボクサー同様に、後部コンパートメントがミッション・モジュールとなっており、任務に応じて短時間で換装ができる。


コマツが入札を獲得し、2017年2月に納品したが不具合が続出し、3月にはコマツの工場に不具合を直すために送り返された。業界筋では「耐弾性や不整地走行に大きな問題があった。コストダウンのために建機のコンポーネントなども流用されたことなど、無理なコストダウンも問題ではないか。陸幕では輸入品の採用も検討している」と語っていた。そもそも陸自は96式にしてもNBC偵察車にしても、基本的に路上での走向を想定しており、高い路外踏破性能を要求してこなかった。96式は不整地走行時にはチェーンを巻いても走行能力が十分ではなく、軍用装甲車としては失格レベルだ。その基準からしても、コマツ案の走行性能は低いと言わざるを得なかったのだろう。


コマツ案は原形となったNBC偵察車は横幅が2.5メートルと狭い上に、車高が2.9メートルと高いことも機動力上の問題となっただろう。コマツが横幅2.5m以下にこだわったのは道路法によって装輪装甲車の車幅は2.5m以下に定められているからだ。これは全幅が概ね2.8~3メートルの現代のAPCに取っては非現実的な数字である。車内容積を確保するならば、全長と全高を上げるしかない。


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