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コマツの新型“8輪装甲車”差戻し

Japan In-depth / 2018年7月31日 23時6分

近年のコマツの主力装甲車は軽装甲機動車だが、これは排気ガス規制によって改良が必用で、コマツは改良型につてそれまでの調達単価3千500万円を5千万円に上げ、陸幕はこれを要求したが財務省は認めなかった。またコマツはコスト削減のために外国製のエンジンに換装したものを開発している。改良型軽装甲機動車の導入は遅れることが見込まれている。その間の売り上げは激減する。


またコマツは自社ベンチャーで軽装甲機動車の6×6型を開発しているが、これが採用されるかどうかも不明である。つまり新型8輪装甲車契約の獲得を逃がすと、コマツの装甲車ビジネスだけではなく、特機部門の存続も怪しくなってくる。


実際問題、日本国内のマーケットは小さく、日本の装甲車両に国際競争力はない。しかも増加装甲や耐地雷・IED対策などの生存性に対するノウハウの蓄積も少なく、またデジタル化、ネットワーク化の面でも大きく外国に遅れを取っている。


装甲車輌の開発能力では、シンガポールや南アフリカ、トルコなどのメーカーの方が遙かに先進的であり、実績もある。我が国では既に中進国の軍隊でも採用が当たり前になってきている、RWS(リモート・ウエポン・ステーション)も旧技本で試作品をつくったものの、使用実績もない。


コマツとMHIの両社が生き残るのは難しいだろう。両社が持ち株会社を作ることも含めた事業統合の話が現実味を帯びてくる可能性は高い。


今回のプロジェクトの迷走の原因はそもそも国産開発ありきでまともなリサーチもせずに、また開発予算と試作予算が過小であったことが原因だろう。防衛省の公表している平成25年度 政策評価書(事前の事業評価)には、以下のようにある。



「諸外国においては、既に実用化された装輪装甲車として、米国のストライカー等があるが、各種脅威からの防護力等の要求性能、コストに関して総合的な観点から比較検討した結果、本事業の優位性が認められた」 



これは「大本営発表」つまり納税者を謀る虚偽である。公開情報だけでもこの記述に反論することは容易に可能である。そもそも陸幕は、他国の対象なる装甲車をろくに検分も試験もしていない。率直に申し上げてコマツ案の装甲車はストライカーよりも生存性能は高くない。既にご案内のように、日本の装甲車輌開発能力は低く、先進技術の取り入れという面でも大きく遅れている。またこれまでの実績を見る限り、調達単価は諸外国の概ね3~5倍である。これは国産開発を進めたいがために、虚偽の報告を行っている。


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